BtoBのリード獲得とは
リードとは、自社の商品やサービスに関心を持った見込み客のことです。BtoBのリード獲得は、そうした会社の担当者から、連絡先を手に入れることを指します。展示会で交換した名刺も、資料をダウンロードするときに入力された連絡先も、問い合わせフォームから相談を寄せた担当者も、リードに含まれます。問い合わせのように、何に関心があるかまで分かるものもあれば、名刺のように、ブースに立ち寄った程度の関心と、連絡先しか分からないものもあります。
BtoBの購入は、個人の買い物とは進み方が違います。検討に時間がかかり、担当者だけでなく上司や他の部署も判断に関わります。そのため、リードを獲得しても、すぐに受注につながるとは限りません。連絡を取り、話を聞き、商談になり、社内の検討を経て受注に至ります。
リード獲得は、この流れの入口です。入口でどれだけ集めたかと、その先にどれだけ進んだかは、別の数字になります。この違いが、あとで施策を比べるときに効いてきます。
施策を選ぶより前に、集めたリードが記録され、いまは買わない相手とも連絡が続いているかを確かめて、自社が先に直すところを決める方法は、BtoBマーケティングの記事で解説しています。
商談に進んだ相手が、受注までのどこで止まっているかを、最近受注できた商談と、受注できなかった商談の記録から見つける方法は、カスタマージャーニーの記事で解説しています。
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リード獲得の主な施策
リード獲得の代表的な施策には、次のようなものがあります。ここでは、見込み客との接点をつくる施策と、連絡先を受け取る窓口に分けて並べます。この2つを分けておくと、あとで施策を比べるときに、何を比べているのかが分かりやすくなるからです。
見込み客との接点をつくる施策:
- SEO:検索結果から、自社サイトに来てもらう
- 検索広告:検索結果に広告を出して、自社サイトに来てもらう
- 比較サイト:製品やサービスを比べるサイトに掲載し、そこから資料請求を受け取る
- SNS:投稿や広告で知ってもらい、自社サイトに来てもらう
- 展示会:ブースに立ち寄った人と、その場で名刺を交換する
- ウェビナー:オンラインのセミナーを開き、テーマに関心のある人に申し込んでもらう
- DM・電話・紹介:見込み客にこちらから連絡する、または取引先などから紹介してもらう
連絡先を受け取る窓口:
- 自社サイトへの問い合わせ:フォームや電話で相談を受ける
- 資料のダウンロード:製品の説明資料や、業界の課題をまとめた資料(ホワイトペーパー)と引き換えに、連絡先を入力してもらう
- 名刺の交換、ウェビナーの申し込み、比較サイトの資料請求:施策の場で、そのまま受け取る
SEOや検索広告、SNSで人を集めただけでは、リードを獲得したことにはなりません。自社サイトに来た人が、問い合わせや資料のダウンロードまで進んで、初めてリードになります。また、窓口によって、手に入るものと、その時点の相手の段階が違います。
| 窓口 | 手に入るもの | 相手の段階 |
|---|---|---|
| 自社サイトへの問い合わせ | 相談の内容と連絡先 | 話を聞きたい |
| 資料のダウンロード | 連絡先 | 情報を集めている |
| ウェビナーの申し込み | 連絡先 | テーマに関心がある |
| 比較サイトの資料請求 | 連絡先 | 複数の会社を比べている |
| 展示会の名刺 | 名刺 | ブースに立ち寄った |
なお、新しく立ち上げたサイトでは、SEOで検索から人が来るまでに数か月以上かかることがあります。SEOを始めてから実際に何が起きるのかは、SEO集客の記事で、このサイトの立ち上げ初期の数字をもとに説明しています。
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どの施策から始めるか
施策の数が多いので、一覧から順番に試したくなります。Web集客の記事では、集客の方法を、すでに探している人の前に出る方法と、まだ探していない人に届ける方法の2つに分けて選びました。BtoBのリード獲得の施策にも、同じ分け方が当てはまります。
検索広告やSEO、比較サイトは、その商材を探している人に、自社を見つけてもらうための施策です。探している人が少なければ、届ける相手も少なくなります。一方、展示会やウェビナー、SNS、DMは、まだ探していない人に知ってもらい、関心を持ってもらう施策です。
BtoBの商材には、探している人がもともと少ないものがあります。業界が限られる製品や、まだ名前が知られていないサービスです。こうした商材で、探している人に届く施策だけに予算を積んでも、件数は思うように伸びません。届ける相手が少ないからです。反対に、探している人が多い商材なら、まず探している人に届く施策から始めるほうが、問い合わせにつながりやすい相手と接点を持てます。ただし、SEOは効果が出るまでに数か月かかります。
同じ分類の中でどれにするか迷ったら、集めたあとに社内で連絡しきれる数に収まる施策から始めます。展示会で名刺を数百枚集めても、連絡する人が1人しかいなければ、多くの相手に連絡できないまま、関心が冷めていきます。予算や、始めるまでにかかる時間も、あわせて見ておきます。それでも決めきれなければ、連絡しきれる範囲で1〜2本を小さく始めて、第5章で説明する表で比べてみます。
どちらに当たるかは、お客さんが使うキーワードで実際に検索してみると見当がつきます。検索結果に同じような会社や広告が並んでいれば、その商材を探している人がいる目安になります。どのくらい並んでいれば十分か、検索結果をどう見て方法を決めるかは、Web集客の記事で解説しています。
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件数のまま比べると、名刺を集める施策が効いて見える
施策をいくつか試すと、施策ごとのリードの件数が手元に残ります。ここで、件数をそのまま並べて比べたくなります。ただ、第2章の表のとおり、窓口ごとに「1件」の中身が違います。
展示会の名刺1枚は、ブースに立ち寄った人の連絡先です。資料のダウンロード1件は、情報を集めている人の連絡先です。問い合わせ1件は、話を聞きたいと言っている人の相談です。どれも「リード1件」と数えられますが、相手がどこまで進んでいるかは大きく違います。
件数のまま並べると、数を集めやすい施策が上に来ます。名刺をたくさん交換できる展示会や、入力の手間が少ない資料のダウンロードは、件数では問い合わせを大きく上回りやすいからです。ところが、話を聞きたいと言った人のように、決めた段階まで進んだ人だけを数えると、順番が入れ替わることがあります。この記事では、この「決めた段階まで進んだ人の数」を、基準を満たした数と呼びます。基準の決め方は、次の章で説明します。
件数を並べるときは、数え方もそろえておきます。1件と数えるのは、会社ではなく担当者1人です。同じ人が資料をダウンロードしたあとに問い合わせてきても、1回だけ数えます。DMや電話でこちらから連絡した相手は、関心があると返事をもらった時点で1件にします。名簿に載っているだけでは、まだリードではありません。また、展示会で会った人が、あとでサイトから問い合わせてきたときのように、2つの施策に当てはまる人は、どちらの施策の1件にするかを決めておきます。迷ったら、最初に接した施策にするのが簡単です。資料をダウンロードした人が、あとで問い合わせてきて基準を満たしたときも、付ける施策は最初のままにして、基準を満たした時点で、その施策の「基準を満たした数」に足します。同じ人かどうかをどこまでさかのぼって見るかも、社内で1つに決めておきます。
比べる基準を1つ決め、施策ごとに分けて記録する
では、何で比べればよいのか。私は、比べる前に「どこまで進んだ人を数えて比べるか」という基準を1つ決め、施策ごとに、集めた数と、その基準を満たした数を分けて記録するのがよいと考えています。
基準は、社内でフォローできる段階に置きます。フォローできる段階とは、こちらから連絡を取りにいく人が社内にいて、相手もその連絡を受けてよいと示している段階のことです。展示会で名刺を交換しただけの人や、ウェビナーに申し込んだだけの人は、集めた数には入りますが、それだけではこの段階に入りません。比較サイトの資料請求は、連絡を希望する項目に答えたかどうかで分かれます。たとえば、次のような基準です。
- 資料のダウンロードのときに、連絡を希望すると答えた人
- 話を聞きたい、見積もりがほしいと言った人
電話やメールで連絡を取りにいく担当者に余裕があるなら、基準を手前に置いてもかまいません。まだ情報を集めている段階の人でも、連絡を重ねるうちに、その中から話を聞きたい人が出てくるからです。反対に、フォローする人がいないのに基準を手前に置くと、基準を満たしたのに誰も連絡しないリードが積み上がります。どの段階を基準にするかは、施策の都合ではなく、受け取る側の体制で決まります。
基準を決めたら、施策ごとに次の表を埋めます。行は、接点をつくった施策です。問い合わせや資料のダウンロードは、「どこで知りましたか」と聞くなどして、どの施策から来たかを記録し、その施策の行に数えます。数え方は、第4章でそろえたとおりです。
| 施策 | かかった費用 | 集めた数 | 基準を満たした数 | 商談になった数 |
|---|---|---|---|---|
| 展示会 | ||||
| ウェビナー | ||||
| 比較サイト | ||||
| 検索広告 | ||||
| SEO |
比べるのは、集めた数ではなく、基準を満たした数と、その1件あたりの費用です。1件あたりの費用は、かかった費用を基準を満たした数で割って出します。費用に何を含めるかは、施策どうしで同じ範囲にそろえることが大事です。まずは、出展料や広告費のように、外に払った費用から始めるとそろえやすくなります。担当者が使った時間も、分かる範囲で添えておくと判断しやすくなります。
商談になった数は、施策を比べるための数ではありません。基準の置き場所が合っているかを、あとで見直すための数です。商談が出そろってきたら、基準を満たした数と並べてみます。どの施策でも、基準を満たした数に比べて商談になった数が少ないなら、基準が手前すぎるかもしれません。1つの施策だけ少ないなら、その施策から来る相手か、フォローの仕方を見直します。受注の数も同じで、基準の置き場所を見直すために、あとから振り返ります。BtoBでは検討に時間がかかるので、受注が出るのを待って施策を比べていると、判断までに何か月もかかってしまうからです。
自社サイトから届く問い合わせについては、問い合わせのたびに「どこで知りましたか」と聞いて記録しておく方法があります。この表は、その記録に、問い合わせの手前で集めた名刺や資料のダウンロードも加え、基準を満たしたか、商談になったかの列を足したものです。自社サイトの問い合わせを増やす手順と、問い合わせの記録の付け方は、ホームページの問い合わせを増やす記事で解説しています。
関連記事ホームページの問い合わせを増やすには?アクセスより先に、誰が来ているかを確かめる
獲得したあと、誰がフォローするか
基準を満たしたリードを集めても、そのあと誰も連絡しなければ商談にはなりません。BtoBのリード獲得では、獲得したあとの対応が、施策の評価まで左右します。
連絡が遅れると、相手の関心は冷めていきます。そのあいだに、同じ時期に相手が資料を請求した他社が、先に連絡を取っているかもしれません。比較サイトには、気になる製品の資料をまとめて請求できるものもあります。そこから届く資料請求は、同じ担当者が他社にも同時に請求していることが少なくありません。その結果、施策そのものはリードを集めていたのに、「この施策は効かない」と判断されることがあります。
そのため、施策を始める前に、集めたリードに、誰がいつまでに連絡するかを決めておきたいところです。問い合わせなら、その日のうちに返事をする。資料のダウンロードなら、何日以内と期限を決めて、メールか電話で連絡する。担当者が決まっていないなら、施策を増やす前に、受け取る人を決めるほうが先です。
決めた期限どおりに連絡できているかは、問い合わせごとに、次に連絡する日と連絡する人をエクセルなどに書いておけば確かめられます。その書き方と、件数が増えて連絡の日を見落とすようになったら顧客管理のツールに移す目安は、CRMの記事で解説しています。
関連記事CRMとは?意味と、ツールを選ぶ前に決める記録の項目【テンプレート付き】
ARROWSのマーケティングコンサルティング
ARROWSのマーケティングコンサルティングでは、契約のあとに、まず半年の計画をつくります。その中で、施策の優先順位とあわせて、成果を何の数字で確かめ、どこを目標にするかを決めます。第5章の基準は、ここで決める数字にあたります。実行で受け持つのは、SEO・AI検索対策、広告、SNS、見込み客のフォローです。
すぐに商談にならない相手へのフォローも、その1つです。問い合わせや資料請求をした方に、メールや、顧客管理(CRM)・マーケティングオートメーション(MA)のツールを使って情報を届け続け、商談につなげます。
実施した施策と数字の変化は、お客様ごとのデータベース(カルテ)に記録し、毎月のご報告では、第5章の表の「基準を満たした数」と「商談になった数」のように、計画で決めた数字の動きをお見せします。基準を満たした数に比べて商談になった数が少ない施策が出てきたら、基準の置き場所と、その施策のフォローの仕方のどちらを見直すかを一緒に決めます。
まとめ
BtoBのリード獲得では、まず、その商材をすでに探している人がいるかを確かめます。そのうえで、探している人に届く施策と、まだ探していない人に知ってもらう施策のどちらから始めるかを決めます。施策どうしを比べるときは、件数のまま並べず、どこまで進んだ人を数えて比べるかの基準を、社内でフォローできる段階に置きます。
まずは、自社の基準を1行で書いてみてください。そのうえで、今月の施策ごとに、集めた数と基準を満たした数を分けて書き出してみると、どの施策が、基準を満たすリードを生んでいるかが見えてきます。商談になった数は、商談が決まった時点で書き足し、基準の置き場所を見直すときに使います。




