コンテンツSEOとは何か

コンテンツSEOとは、検索している人の目的に答えるコンテンツを作り、検索エンジンからの流入を増やす取り組みのことです。

広告との違いは、時間の扱いにあります。広告は出稿を止めた日に流入も止まります。記事は公開したあとも検索結果に残り、読まれ続けます。費用のかけ方が、「その都度支払うもの」から「将来に向けて積み上げるもの」へ変わります。

テクニカルSEOとの違い

SEOは大きく2つに分けて考えられます。

種類対象具体例
テクニカルSEOサイトの読み取られやすさ表示速度、内部リンク、構造化データ、インデックス制御
コンテンツSEO中身そのもの記事の企画、構成、本文、更新

両者は、土台と中身の関係にあります。検索エンジンに読み取られない状態では、いくら中身を作っても評価されません。一方、読み取られる状態を整えても、中身がなければ読まれません。片方だけでは成立しません。

ほかのサイトからの評価を得る外部対策を加えて、3つに分けて整理することもあります。

コンテンツマーケティングとの違い

コンテンツマーケティングは、検索に限らず顧客との関係を作る活動全体を指します。メールマガジンも、事例集も、セミナーも含まれます。

コンテンツSEOはその中で、検索という入口に絞った部分にあたります。範囲が違うだけで、対立する概念ではありません。検索のために書いた記事を、メールや営業の資料、SNSの投稿にも形を変えて使う方法は、コンテンツマーケティングの記事で扱っています。

進め方の5つの手順と、手順に入っていないこと

進め方は、次の5つの手順に整理できます。

  1. 誰に向けて書くかを決める
  2. その人が使うキーワードを選ぶ
  3. 検索している人の目的を確かめる
  4. 記事を作る
  5. 公開後の数字を見て直す

この順番には理由があります。検索エンジンが評価の軸を、キーワードの詰め込みやリンクの操作から、検索した人の役に立ちそうかどうかへ移してきたからです。読む人を起点に設計する手順が、そのまま評価に沿う形になりました。

この5つは正しい手順です。ただ、ここで一つ確かめておきたいことがあります。

この手順は公開されていて、誰でも同じものを使えます。 同じものを全員が使えるなら、そこでは差がつきません。

ただし、この手順だけでは、実務で迷いやすい判断に答えられません。どのキーワードを選ぶかは、「その人が使うキーワードを選ぶ」の1行で終わっています。何本書くのか、どの段階で見切りをつけるのかも、この5つからは分かりません。

1位でもクリックが返ってこない検索が増えた

検索結果の上部に、AIが生成した回答(Googleでは「AI による概要」)が表示されるようになりました。調べものによっては、その回答を読んだ時点で終わります。

変わったのは、それだけではありません。検索結果には、AIの回答、広告、地図、動画、「他の人はこちらも質問」といった枠が同時に乗ります。こうした枠が3つ乗れば、オーガニック(広告ではない通常の検索結果)の1位は、画面のかなり下に押し下げられます。

検索結果の画面 AIによる回答 調べものは、ここで済むことがある 広告 地図・動画などの枠 オーガニック1位 2位以下 枠が3つ乗ると、 1位は画面のかなり下に来る 約14% 地図・動画などの枠が乗る検索結果で 筆者が測った1位のクリック率 30%前後 見積もりで使っていた 1位のクリック率の目安
枠が増えるほど、オーガニック1位の位置は下がる。約14%は筆者がクライアントの案件で測った値で、地図や動画などの枠が乗る検索結果のもの。

私がクライアントの案件で測ったときは、地図や動画などの枠が乗る検索結果で、オーガニック1位のクリック率が約14%でした。見積もりで1位に使っていた目安は30%前後なので、同じ1位でも、返ってくる人の数が半分近くまで落ちていたことになります。

AIの回答が表示される検索でも、同じ傾向が見られます。米国のPew Research Centerが、成人900人の2025年3月の閲覧データを調べたところ、AIの要約が出た検索で通常の検索結果のリンクがクリックされたのは8%でした。要約が出なかった検索では15%で、ほぼ半分です。

順位だけでは、クリックが決まらなくなりました。

このことは、狙うキーワードの選び方まで変えます。調べもののキーワードほどAIの回答が出やすく、情報を求める検索で流入を積み上げるやり方は、効きが落ちてきています。上位を狙う価値のあるキーワードと、上位を取っても流入を見込みにくいキーワードが分かれています。

決めるのは本数ではなく、キーワード

以前、クライアントの案件で競合のサイトを調べていたとき、記事を20本以上公開しているのに、検索からの流入がほとんど無いサイトがありました。いちばん順位が高い記事でも14位で、検索結果の2ページ目です。流入が少ないこと自体は、順位で説明がつきます。

問題が見えてきたのは、狙っていたキーワードを並べたときです。すべて、作る側が日常的に使っている言葉でした。買う人が検索するキーワードと並べると、違いがはっきりします。

キーワードの種類例誰が使うか
工程のキーワード要件定義、受入試験、開発フロー作る側
業務のキーワード原価管理、在庫、属人化発注する側

発注する立場の人は、工程の名前で検索しません。自分の会社で起きている困りごとで検索します。このサイトの記事が仮にすべて1位を取っていたとしても、来るのは同業者か、これから学ぶ人で、問い合わせにはつながらなかったはずです。

そのキーワードで1位になったとして、来るのは買う人か。 これを事前に確かめておけば、より成果につながるキーワードへ労力を振り向けられます。

自社が自社を説明するときの言葉が、そのまま検索されているとは限りません。商材の自己定義に使う言葉は、その概念をすでに知っている人が使いがちだからです。顧客が実際にどのキーワードで探しているかは、検索データに記録として残っています。その記録を、顧客や競合を調べる材料としてどう使うかは、3C分析の記事で扱っています。

関連記事3C分析は、埋めた後に何を確かめるかで決まる【テンプレート付き】

書く前に決める3つの判断

ここまでを、書く前に通す3つの判断にまとめます。

書く候補のキーワード 1. そのキーワードに、クリックが残っているか いいえ: 書かない はい 2. 1位のとき来るのは、買う人か いいえ: 後回しにする はい 3. 行き先のページは、公開済みか いいえ:先に そのページを作る はい 書く
書くのは、3つとも通ったキーワードだけ。1つでも欠けているなら、書く前にやることがある。

1. そのキーワードに、クリックが残っているか

狙うキーワードを実際に検索して、画面を上から見ます。AIの回答、広告、地図、動画、「他の人はこちらも質問」。どのような枠が何種類表示されているかによって、オーガニック1位の価値は変わります。広告が何件並んでいても、広告で1つと数えます。枠が3つ以上乗っているなら、先ほどの実測にならって、1位を取ったときに見込める流入は半分程度で見ておきます。そこで見込める流入が執筆の手間に見合わないなら、そのキーワードは対象から外します。

ツールの検索数だけを見て決めると、この差が抜け落ちます。

2. 1位のとき来るのは、買う人か

そのキーワードで検索している人の中に、発注できる立場の人がいるかを考えます。判断がつかないときは、実際に検索して、検索結果の上位に、どのようなページが並んでいるかを見ると判断できます。求人サイトや専門学校、講座のページが並んでいるなら、そこにいるのは、その仕事に就きたい人や学ぶ人です。その場合、そのキーワードは後回しにします。

解説記事が並んでいる場合は、分けて考えます。仕組みを調べている人の中には、これから仕事を頼む人も混ざっています。書くなら、読んだあとに見てもらうページを先に決めておきます。それが3つ目の判断です。

3. 行き先のページは、公開済みか

記事は、読んだあとに見てもらうページがあって初めて仕事をします。ここでは、記事から案内するサービスページや事例ページを、行き先のページと呼びます。行き先のページが公開されていない状態で関連記事だけを増やすと、記事が読まれても、次に案内するページがまだ用意されていない状態になります。その場合は、記事より先に行き先のページを作ります。

行き先が1つあるなら、そこへ向かう記事を7本から8本まとめて書くほうが効きます。記事から行き先のページへ内部リンクが集まり、行き先のページが押し上げられるためです。20本書いても、6つの行き先に分散すれば、1つあたり3本程度にとどまります。その結果、どのページにも十分な内部リンクが集まりません。本数は、書きたいテーマの数ではなく、公開済みの行き先の数から決めます。行き先1つにつき、7本から8本です。

あわせて、その問いに答える記事がすでに自社にないかも確かめておきます。

関連記事重複コンテンツは、書く前に防ぐ

出せる一次情報を見つける

3つの判断を通ったキーワードで、何を書くか。ここで効くのが、その会社にしかない情報です。

検索して出てくる記事を集めて書くと、その記事は、まとめのまとめになります。同じ内容が他にもあるため、引用される理由を持てません。集めて書く手順を丁寧になぞるほど、この位置に着地しやすくなります。

記事の本数では、専任チームを置く会社にかないません。ただし一次情報は、実際に手を動かしている側にたまります。本数と一次情報では、有利な側が入れ替わります。

社内への聞き取りで一次情報を探すなら、次のように質問します。

  • 直近で断った仕事は何か。なぜ断ったか
  • 見積もりのその金額は、何を根拠に決まっているか
  • 一度作って、作り直したものは何か。何が原因だったか
  • 打ち合わせで毎回のように聞かれる質問は何か
  • 同業他社がやっていて、自社がやらないと決めていることは何か

こうしたものは、社内では日常の一部として扱われていて、外に出す発想が生まれにくいものです。調べても出てこない情報という意味では、まさに一次情報になります。

こうした質問から得られた答えを1つ選び、1本の記事にします。断った理由が1つ書かれている記事は、同じ判断で迷っている人にとって、他では読めないものになります。

読み取れる形に置く

一次情報を持っていても、読み取りにくい形で置いてあれば、読む人にも機械にも伝わりにくくなります。

人は文脈から補って読みます。書かれていないことも、前後から察して理解します。検索エンジンやAIは、明示されていない情報まで正確に補えるとは限りません。誰が書いたのか、何についての記事なのか、どの問いにどう答えているのか。文章の中に明示された情報をもとに判断します。

情報を読み取りやすくするために行うことは、次の4つです。

問いと答えの形にする

見出しを問いの形にして、その直後に短く答えを置きます。答えを出してから理由を説明する順番にします。読み手にとっては探している答えが早く見つかり、機械にとってもどの問いにどう答えたかが取り出しやすくなります。

これは、AIのための特別な書き方ではありません。Googleは、生成AIの検索機能に向けた書き方をする必要はない、としています。見出しで中身の構造を示すことは、読む人のための整理として勧められています。AIの回答に向けた対策として挙がる施策を、Googleの資料に照らして仕分ける話は、別の記事で扱っています。

関連記事AEO対策の施策は、Googleの公式資料で「要件・不要・書いていない」に仕分ける

著者に、確かめられる中身を持たせる

Googleは、役に立つコンテンツについての資料で、正確な著者の情報を載せることを強く勧めています。名前だけでは、経験に基づいて書かれたのかを判別できません。何を専門にしていて、どんな実務を続けているかが、サイトの中で確認できる状態にします。外での発信が続いていれば、その人が実在して同じ分野を語り続けていることの裏づけになります。

会社の情報を一箇所にそろえる

会社概要のページが、その会社についての基準になります。正式名称、事業内容、代表者、所在地、連絡先、公式アカウントのURL。これらが1ページにそろっていると、自社サイトのほかのページや外部サイトの掲載情報も、そのページを基準に統一できます。

表記を統一する

社名、住所、電話番号の書き方をそろえます。そろえるのは次の4点です。

  • 正式社名(株式会社を前に付けるか、後ろに付けるか)
  • 英文表記
  • 住所(丁目・番地・ハイフンの書き方)
  • 電話番号(ハイフンの位置)

表記は、自社サイト、地図サービス、業界のポータル、取材を受けた記事へと広がっていきます。掲載される場所が増えるほど、揺れは生まれやすくなります。決めた4項目を1枚にまとめて、外部に掲載を依頼するときに渡すと、揺れが増える前に止まります。

そろえる範囲を、自社で決められるものと決められないものに分けて考える方法は、エンティティSEOの記事で扱っています。

関連記事エンティティSEOは、自社を一意にする設計

直す基準と、やめる基準

公開したあとの判断は、順位で分かれます。ここで見ているのは、3つの判断を通したキーワードで書いた記事です。

ただし、順位で分けられるのは、表示回数がある程度たまってからです。表示が月に数十回のうちは、1回の増減で順位もクリック率も大きく動くため、分ける根拠になりません。

状態やること
5位以内に入っている構成は触らない。クリック率が低ければ、タイトルと説明文を直す
6位から20位あたりにいる本文を直す。見出しを問いにし、答えを先に置く形に整える
それより下にいる書き方ではなく、狙ったキーワードから見直す

5位以内のページは、内容と構成が評価されている状態です。構成を組み替えると、評価されていた部分を消してしまうことがあります。

6位から20位あたりのページは、検索エンジンからすでに一定の評価を受けています。この順位帯なら、情報の示し方や構成を整えることで、順位が上がる余地があります。

それより下のページは、キーワードの選び方が合っていなければ順位が動きません。原因が書き方ではなくキーワード選びにある場合、本文を書き直しても順位改善にはつながりません。3つの判断は、そのキーワードで上位を取れるかまでは見ていないので、3つの判断を通した記事でも、この順位帯にとどまることはあります。

順位が取れていても流入や問い合わせが無いなら、書き方ではなく、書く前の3つの判断に戻ります。

どの記事から直すかの選び方と、直した直後の記事に手を入れない理由は、SEOリライトの記事で扱っています。

関連記事SEOリライトのやり方と、その手順が効く条件

やめる基準も要ります。行き先のページが無いまま関連記事を増やすこと。AIの回答で済んでしまう調べもののキーワードを、行き先を決めないまま追い始めること。この2つは、丁寧にやるほど成果から離れます。追わないと決めたキーワードを書き出しておくと、次に迷わなくなります。

この記事で見てきたのは、SEOのうち中身の側です。土台にあたるテクニカルSEOも含めて、施策がどの時点で決まるのかは、別の記事で整理しています。

関連記事SEO対策の全体像と、施策が決まる順番

ARROWSのSEO記事の作成代行

「出せる一次情報を見つける」で挙げたような話は、社内では日常の一部なので、外に出す発想が生まれにくいものです。ARROWSのSEO記事の作成代行では、月1回の打ち合わせで現場の話を伺い、その会社だから書けることを選んで、1本の記事の芯にします。

「読み取れる形に置く」で書いた、問いに答えを先に置く形は、書くときの決まりにしています。あわせて図や表で整理し、専門用語は最初に出てきたところで説明します。公開するときは、検索結果に出すタイトルと説明文、構造化データ、関連する記事やサービスページへのリンクまで設定します。公開の前には、書いた人とは別の目で読み直し、想定する読み手の立場で、途中で止まる箇所を直します。

記事は社内で書き、どのキーワードをどの順番で書くかを決めるところを頼みたい場合は、SEOコンサルティングでお受けします。

まとめ

コンテンツSEOの手順は、誰でも同じものを使えます。手順を正しくなぞるほど、記事は互いに似ていきます。

差がつくのは、書く前の判断です。狙うキーワードに、クリックが残っているか。1位のとき来るのは買う人か。行き先のページが公開されているか。書くのは、3つを通したキーワードだけです。

書く中身は、社内にあります。断った仕事の理由、見積もりの根拠、作り直した経緯。その中から1つを選び、問いと答えの形に整え、著者を明記します。そこから始めれば十分です。

何本書くかは、行き先を決めたあとで決まります。