SEO集客とは
SEO集客は、Googleなどの検索結果から、自社のサイトに人を呼ぶ方法です。検索する人は、知りたいことや困っていることがあって、自分でキーワードを打ち込んでいます。その答えになるページを用意し、検索結果の上のほうに表示されることで、目的を持った人に来てもらいます。
検索した人に自社のページを見つけてもらうための取り組みを、SEO対策と呼びます。SEO対策には、サイトの作りを整えること、検索する人の疑問に答えるページを作ること、ほかのサイトからリンクされることなど、いくつかの領域があります。施策の全体像と、どの順番で手を付けるかは、SEO対策の記事でまとめています。
SEO集客で人を呼ぶのは、主にコラムやお役立ち記事のようなページです。サービスや会社を紹介するページも検索結果に表示されますが、すべてのページに集客の役目を持たせる必要はありません。
以前、あるサービスサイトのリニューアルを担当したとき、その商材に関係するキーワードで検索結果を調べました。上位に並んでいたのは解説記事ばかりで、発注先を探している人に向けたページは、ほとんどありませんでした。そのキーワードで検索しているのは、まず仕組みを知りたい人だと判断しました。そこで、サービスのページの役目を「検索から人を呼ぶこと」ではなく、「読んだ人に信頼してもらい、相談につなぐこと」に置き直しました。検索からの訪問は記事で受け止め、そこからサービスのページへ案内する形です。ページごとに役目を分けておくと、どのページで、どの数字を確認すればよいかも明確になります。
広告との違い
検索結果から人を呼ぶ方法には、SEO集客のほかに、検索結果に広告を出すリスティング広告があります。どちらも、キーワードで検索した人に向けてページを表示する点は同じです。違うのは、お金と時間のかかり方です。
| リスティング広告 | SEO集客 | |
|---|---|---|
| 費用のかかり方 | クリックされるたびに広告費がかかる | クリックごとの広告費はかからない。ページの制作や改善には費用または手間がかかる |
| 上位に表示されるまで | 出稿した日から表示される | 表示は早ければ数日で始まる。上位に入るまでは数週間から数か月かかり、入らないこともある |
| 止めたとき | その日に表示されなくなる | 作ったページは残り、表示され続けることがある |
| 掲載順位 | 入札額や広告の品質などで決まる | Googleの評価で決まり、自分では決められない |
広告は、明日から問い合わせを増やしたいときに向いています。ただし、原則として、広告から集客できるのは、広告費を払っているあいだです。SEO集客は成果が出るまでに時間がかかる一方で、作ったページは施策を止めたあとも残ります。広告は払っているあいだだけ人を呼び、SEO集客は時間をかけて入口を残していく手段です。
SEO集客のメリットとデメリット
メリット
- 作ったページが残る。広告のように、止めたとたんに表示がなくなることはない
- 自分から調べている人が来る。知りたいことがはっきりしているので、読んでもらいやすい
- 検索する人の疑問に答えるページを増やすことで、広告費をかけずに検索結果へ表示される機会を増やせる
デメリット
- 成果が出るまでに時間がかかる
- 順位を約束できない。上位を狙うことはできても、何位になるかはGoogleの評価で決まる
- 書き続ける手間がかかる。1本書いて終わりにはならない
- 検索する人がもともと少ない業種や地域では、訪問が大きく伸びないことがある
もう1つ、検索結果そのものにも変化が起きています。検索結果の上に、AIが質問への答えをまとめて表示するようになりました。その場で疑問が解決すれば、上位に表示されていてもクリックされないことがあります。検索結果には、AIの回答のほかにも、広告や地図などの枠が並びます。枠が多い検索では、1位になってもクリックされにくくなります。そのため、キーワードを選ぶときは、実際に検索して、どんな枠が何種類表示されるかを見ておきます。
デメリットのうち、書き続ける手間は、外に頼めば費用に置き換わります。どこまで頼むかで、見積もりの中身も変わります。公開されている料金に含まれる内容や、見積もりの読み方は、SEO対策費用の記事でまとめています。
関連記事SEO対策費用は何で変わるか。見積もりを読む前に決めておくこと
デメリットとしてよく挙がるのが「時間がかかる」です。ただ、何か月かかるかの目安はあっても、そのあいだに自社のサイトで何が起きるかは、始めてみるまで見えません。次の章から、このサイトの数字で見ていきます。
「時間がかかる」のあいだに起きること
このサイトは、2026年9月7日に最初の記事を公開しました。その翌日から2週間のあいだに、Search Console(Googleが無料で提供している、検索での表示状況を見る管理画面)で確認できた数字が次のとおりです。この期間中も記事を公開し、9月21日時点で公開本数は24本になっていました。
| 見たもの | 数字 |
|---|---|
| サイト全体の表示回数 | 61回 |
| サイト全体のクリック | 1回(トップページ。記事へのクリックは0回) |
| 検索結果に1回以上表示された記事 | 9月21日時点の24本のうち11本(残り13本は表示0回) |
| 表示された記事の平均掲載順位(記事ごと) | 多くが35〜92位 |
※arrowsdc.jpのSearch Consoleで確認した、2026年9月8日〜21日の14日間の数字。記事の本数と掲載順位は、ページ単位で集計しています。
2週間でクリックは1回で、それもトップページでした。記事へのクリックはありません。
ただ、何も起きていなかったわけではありません。24本のうち11本は、検索結果に表示されていました。記事ごとの平均掲載順位は、多くが35〜92位でした。1ページに10件表示されると考えると、平均でも4ページ目以降にあたる位置です。そこまで検索結果を見る人は少ないため、表示されてもクリックにはつながりにくい状態です。
「時間がかかる」と聞くと、何も表示されない期間を思い浮かべるかもしれません。このサイトで起きていたのは、検索結果には表示され始めているものの、まだクリックされる順位には届いていない状態でした。表示回数や掲載順位の変化を見れば、クリックが0回のあいだも、検索結果で動きが出ているかを確認できます。
検索結果に1回も表示されていない記事が、Googleのデータベースに登録されているかどうかを確かめる方法と、登録を待つ期間の目安は、Google検索に表示されないときの記事で解説しています。
関連記事Google検索に自分のホームページが表示されないのはなぜ?確かめる順番と待つ期間
このサイトで平均掲載順位が10位以内だったのは、狙っていないキーワード
実際に表示されたキーワードも、公開前の想定とは異なりました。
記事は1本ずつ、狙うキーワードを決めて書いています。ところが、最初の2週間で狙ったキーワードで表示されたのは、エンティティSEO(会社や人を、検索エンジンやAIが1つの対象として見分けられるようにする取り組み)の記事1本だけで、平均掲載順位は71.5位でした。
※狙ったキーワード「エンティティSEO」に対し、検索されたのは「エンティティ seo」という形でした。空白の有無と大文字・小文字の違いは、同じキーワードとして数えています。
一方で、10位以内に入ったキーワードが2つありました。1つは「validthrough」です。求人の構造化データ(ページの内容を検索エンジンに伝えるための記述)で、掲載期限を示す「validThrough」という項目の名前で調べる検索です。もう1つは「discover表示されない」で、Googleのおすすめ記事の欄(Discover)に記事が表示されない原因を調べる検索です。どちらも、狙って書いたキーワードではありません。
2つとも、細かく、専門的なキーワードです。どちらも、検索する人も、答えているページも多くないキーワードだったと考えられます。記事の公開を始めて間もない段階でも、平均掲載順位が10位以内になりました。ただし、どちらも表示は1〜2回だけで、クリックはありませんでした。
Search Consoleでは確認できないキーワードもあります。ページ単位で集計した70回の表示のうち、どんなキーワードで検索されたかを確認できなかったものが22回あり、70回の31%にあたります。検索した人を特定できないよう、Search Consoleがキーワードを表示しないためです。表示回数が少ないうちは、この3割を除いた残りから判断することになります。
※1回の検索で同じサイトの複数のページが表示されると、ページ単位では別々に数えるため、合計はサイト全体の表示回数(61回)より多くなります。
狙ったキーワードで上位に入るまでには、時間がかかります。このサイトで最初の2週間に平均掲載順位が10位以内だった2つは、どちらも狙っていないキーワードでした。
始める前に、成果が出るまでに見るものを決めておく
このサイトでも、2週間で記事へのクリックは0回でした。クリックだけを見ていると、何も起きていないように感じられ、施策を続けるべきか判断しにくくなります。そこで、始める前に、成果が出るまで何を見るかを決めておきます。
見るのは次の3つです。
- 表示回数が出始めたか、増えているか。掲載順位が上がってきているか
- どのキーワードで表示されたか。狙っていないキーワードも確認する
- 検索から来た人が、問い合わせやサービスのページに進んでいるか
1つ目と2つ目は、Search Consoleで見られます。「検索パフォーマンス」を開き、「合計表示回数」と「平均掲載順位」を選びます。すると、「クエリ」の一覧で、キーワードごとの表示回数や掲載順位を確認できます。「ページ」タブで記事を選ぶと、「クエリ」の一覧がその記事のキーワードに絞られます。3つ目は、GA4などのアクセス解析で見ます。
2つ目で狙っていないキーワードが見つかったら、そのキーワードで調べる人が何を知りたいのかを考えます。自社の仕事に近い疑問なら、それに答える記事を書く候補になります。公開後に、公開後のデータをもとに次に狙うキーワードを選ぶ方法や、表示回数も順位も動かないときの見直し方は、キーワード選定の記事でまとめています。
関連記事キーワード選定のやり方。数字で絞ったあと、何を見て決めるか
3つ目は、検索からの訪問が増えてくると、重要な判断材料になります。検索から人が来ても、それが問い合わせにつながらなければ、事業の成果には結びつきません。このサイトで上位に入った2つも、問い合わせにつながるかは、まだ分かりません。つながるかどうかは、人が来てからでないと分からないということです。そのため、狙うキーワードを選ぶ段階で、そのキーワードで1位になったときに来る人が、自社の顧客になりうるかを考えておきます。顧客になりそうにないキーワードは、順位を取りやすそうでも狙いません。
サイトの段階ごとに、何を見て、どの施策から手を付けるかは、SEO対策の記事の「サイトの段階で、手を付ける順番は変わる」の章で整理しています。
ARROWSのSEOコンサルティング
第6章で、顧客になりそうにないキーワードは、順位を取りやすそうでも狙わないと書きました。ARROWSのSEOコンサルティングでも、狙うかどうかは、上位に並ぶページを見てから決めます。上位にサービスのページが多いのか、解説の記事が多いのかを見ると、そのキーワードで調べる人が何を求めているかが分かります。求めているものが自社の仕事と合わないキーワードは、順位を取れそうでも外します。SEOコンサルティングは、狙うキーワードと記事の計画を決めるところまでのご依頼です。
第6章で書いた、成果が出るまでに何を見るかは、続けてお任せいただくマーケティングコンサルティングで、最初につくる半年の計画の中で決めます。そのあとは毎月、Search Consoleの表示回数と掲載順位、問い合わせへの進み方を見て、計画を見直します。
まとめ
SEO集客は、検索結果から自社のサイトに人を呼ぶ方法です。広告と違い、SEO施策を止めても作ったページ自体は残ります。ただし、成果が出るまでには時間がかかります。
- 広告は出稿した日から表示され、止めればその日に消える。SEO集客は時間がかかるが、作ったページが残る
- 「時間がかかる」期間には、検索結果に表示されても、まだクリックされる順位には届いていない段階がある。このサイトでは最初の2週間で、サイト全体の表示回数が61回、クリックは1回だった
- 狙ったキーワードではなく、狙っていない細かいキーワードで平均掲載順位が10位以内に入ることがある。このサイトでは、最初の2週間で10位以内に入った2つのキーワードがどちらもそうだった
- 始める前に、表示回数と掲載順位、表示されたキーワード、問い合わせへの進み方の3つを見ると決めておく
このサイトも、まだクリック1回の段階です。それでも、SEO集客で目指すのは、訪問数そのものではありません。自社で対応できる量を超えるほど問い合わせが来るようになれば、受ける仕事を選べる余地が生まれます。その結果、価格設定についても、自社の基準で判断しやすくなります。検索から自社を見つけてもらう入口を1つずつ増やすことが、その状態に近づく一歩になります。




