リスティング広告の費用は、クリックされた分だけかかる

リスティング広告は、Googleなどで検索されたキーワードに応じて、検索結果に表示される広告です。費用は、広告が表示されただけではかからず、クリックされたときにかかります。

広告費 = 1回のクリックにかかる金額(クリック単価)× クリックされた回数

クリック単価は、同じキーワードに広告を出したい会社どうしの入札で決まります。入札とは、1回のクリックに払ってよい上限の金額を、広告を出す側があらかじめ決めておくことです。広告が表示されるか、どの位置に表示されるかは、この上限の金額と、広告やリンク先のページが検索した人の役に立つか(広告の品質)などをもとに決まります。Googleは、これを広告ランクと呼んでいます。

実際に払う金額は、決めた上限そのものではありません。Googleの「実際のクリック単価(CPC)」は、実際に払う単価はほとんどの場合、上限を下回るとしています。理由は、〈掲載順位が 1 つ下の競合相手の広告ランクを上回るために最低限必要な金額のみが請求される〉からです。ただし、入札単価を自動で上げ下げする設定や、端末・地域ごとに入札単価を調整する設定を使っていると、上限を上回ることもあると添えています。

Google 広告には決められた最低出稿額がなく、アカウントを作るのにも費用はかかりません。広告費のほかにかかるのは、広告のリンク先となるページ(ランディングページ)の制作費と、運用を代理店に頼む場合の手数料です。

費用は、毎月かかるものと、最初にかかるものに分かれる 毎月かかるもの 広告費 クリック単価×クリックされた回数 手数料 代理店に頼む場合 最初にかかるもの ページの制作費 広告のリンク先となるページ 初期費用 代理店に頼む場合 アカウントの作成は0円
図1:リスティング広告の費用の内訳。広告費だけが、クリックの回数で増減する。

同業の会社が広告を出しているかなど、リスティング広告をやるかどうかの見分け方は、インターネットで自社を見つけてもらう方法(Web集客)の選び方を解説した記事で扱っています。この記事では、リスティング広告をやると決めた、または具体的に検討している段階で、いくら用意するかを考えます。

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月の費用の相場と、その数字の読み方

リスティング広告の費用の相場として、月20万〜50万円という金額がよく挙げられます。一方で、月に数万円から始める例も珍しくありません。ただ、この金額は、業種もキーワードも違う会社をまとめた目安です。

目安をそのまま使いにくいのは、クリック単価が業種やキーワードで大きく違うからです。同じ月10万円でも、クリック単価が100円なら1,000回、500円なら200回、2,000円なら50回のクリックにしかなりません。

同じ月10万円でも、得られるクリックの回数は20倍違う 月10万円で得られるクリックの回数 クリック単価 100円 1,000回 クリック単価 500円 200回 クリック単価 2,000円 50回 相場の金額だけでは、何回クリックされるかは決まらない
図2:月10万円で得られるクリックの回数。クリック単価は一例です。

同じ金額でも、得られるクリック数は20倍違います。相場の金額は、ほかの会社がそのくらい使っている、という参考にはなっても、自社がいくら使えばよいかの答えにはなりません。予算は、自社の数字から決めます。

よく使われる予算の決め方:1件あたりの費用から逆算する

よく使われるのは、ほしい問い合わせの件数から逆算する方法です。

月の予算 = ほしい問い合わせの件数 × 1件あたりの目標の費用

1件あたりの目標の費用は、問い合わせのうち契約になる割合と、1件の契約で残る粗利から逆算します。この2つを置くと、問い合わせ1件にいくらまでなら払っても赤字にならないかが出ます。たとえば、問い合わせの5件のうち1件が契約になり、1件の契約で粗利が10万円残るなら、問い合わせ1件に払えるのは最大2万円です。この2万円から、問い合わせ1件あたりで確保したい利益を差し引いた金額を、目標にします。確保したい利益は、営業の手間など、広告のほかにかかる費用を見込んで残す額です。

最大2万円から利益を残して、1万円を目標にするなら、月に10件の問い合わせがほしいときの予算は月10万円です。広告を始めたあとは、問い合わせ1件を得るのに実際にかかった広告費を見ます。これをCPAと呼び、目標の1万円を超えていないかを確かめます。

必要なクリックの回数も出せます。広告から来た人のうち、問い合わせる人の割合をコンバージョン率と呼びます。

必要なクリックの回数 = ほしい問い合わせの件数 ÷ コンバージョン率

月に10件ほしく、コンバージョン率が2%なら、500回のクリックが要ります。クリック単価が200円なら、500回で月10万円です。

ほしい件数から、予算と必要なクリックの回数を逆算する ほしい問い合わせ 月10件 × ÷ 1件あたりの目標の費用 1万円 コンバージョン率 2% 予算 月10万円 必要なクリック 500回 ×クリック単価200円=月10万円 500回のクリックを生むだけの検索があるかは、この計算に入っていない
図3:ほしい件数からの逆算。数字は一例です。

広告を出したことがなければ、コンバージョン率はまだ分かりません。その場合は、次の章の、検索数から出る上限を先に出します。こちらはキーワードプランナーの数字だけで出せます。上限の範囲で小さく始め、1〜2か月たって実際のクリック単価とコンバージョン率が見えてから、この逆算に当てはめます。

広告を始めたあと、1件あたりの費用が目標を超えるときは、来ている人が自社に頼む人か(第5章)と、来た人が問い合わせまで進めるか、の2か所を疑います。来た人が問い合わせまで進めないと、コンバージョン率が下がり、1件あたりの費用が上がります。来た人が問い合わせまで進めるかの見方は、ホームページの問い合わせを増やす方法を解説した記事で扱っています。

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ただ、この逆算には入っていないものがあります。500回のクリックを生むだけの検索が、そもそもあるかです。

キーワードの検索数から、広告費の上限を見積もる

リスティング広告は、すでに探している人が検索したときに、その人の前に出る広告です。広告費を増やしても、探している人の数は増えません。狙うキーワードの検索数には限りがあるので、広告費にも、それ以上は使えない上限があります。

ここでいう上限は、狙う検索のすべてに自社の広告が出たとしても、それ以上は増えない額です。次のように見積もれます。

検索数から出る上限 = 月の検索数 × クリックされる割合 × クリック単価

たとえば、狙うキーワードの検索が、合わせて月300回だとします。そのすべてに自社の広告が出て、クリックされるのが4%なら、クリックは月12回です。クリック単価が200円なら、上限は月2,400円です。第3章の例では500回のクリックが要りましたが、月300回しか検索されないキーワードでは、すべての検索に広告を出しても、クリックは12回にしかなりません。

キーワードの検索数から、広告費の上限を見積もる 狙うキーワードの検索(すべてに自社の広告が出た場合) 月300回 クリックされる(4%) 12回 ×クリック単価200円 = 月2,400円が上限 すべての検索に広告が出ても、狙った検索からのクリックはこれより増えない
図4:キーワードの検索数から、広告費の上限を見積もる例。狙う検索のすべてに広告が出た場合。数字は一例です。

式に入れる数は、Googleのキーワードプランナーで調べられます。Google 広告の[ツール]メニューから[キーワード プランナー]を開き、[検索のボリュームと予測のデータを確認する]に狙うキーワードを入れます。

  • 月の検索数:そのまま出る。広告を出していないアカウントでは「100〜1000」のような幅で出るので、上限を大きく見積もらないように、幅の下の端で見る
  • クリック単価:「ページ上部に掲載された広告の入札単価」の低額帯と高額帯。両方を式に入れて、上限を幅で見る
  • クリックされる割合:予測のページに出るクリック率(CTR)

いちばん手早いのは、予測のページに出る「費用」を見ることです。1日に見込まれる費用が出るので、30.4(1か月の平均日数・第6章)を掛けると、月の上限のおおよその額になります。

Googleの「キーワード プランナーの予測について」によると、基本の機能を使うには、お支払い情報を入力してアカウントの設定を済ませる必要があります。また、〈検索ボリュームのデータは概数です〉とあります。そのため、出した上限もおおよその額として見ます。

お支払い情報を入れても、広告を配信しなければクリックの費用はかかりません(第1章)。代理店から見積もりを受けているなら、狙うキーワードの検索数とクリック単価の見込みを、代理店に出してもらう方法もあります。

ここまでで、予算の上限は2つ出てきました。第3章の「1件の費用から出した予算」と、この章の「検索数から出る上限」です。予算は、2つのうち小さいほうを超えないように組みます。検索数から出る上限は、すべての検索に広告が出た場合の額です。実際には広告が出ない検索もあるので、使われる額はこれより少なくなります。始めるときは、クリック単価の低額帯で出した上限を目安に小さく組み、実際のクリック単価が見えてから合わせます。

予算の上限は2つあり、小さいほうを超えないように組む 月10万円 1件の費用から出した予算 目標の費用×ほしい件数(第3章) 月2,400円 検索数から出る上限 検索数×クリック率×単価(第4章) 予算は、低いほう(点線)を 超えないように組む 差の分は、狙った検索からの クリックにならない
図5:1件の費用から出した予算と、検索数から出る上限。予算は、低いほうを超えないように組む。数字は一例です。

1件の費用から出した予算のほうが小さければ、入札の上限(第1章)を下げるか、ほしい件数を減らして、その予算に収めます。検索数から出る上限のほうが小さければ、予算を積んでも、狙った検索からのクリックは増えません。狙うキーワードを増やせば上限は上がりますが、増やすなら、そのキーワードで検索している人が自社に頼む人かを確かめてから追加します。

予算が余っても、配信を広げない

検索数から出る上限より多く予算を組むと、使い切れない分が出ます。予算が余ると、キーワードを増やす、言い回しの近い検索にまで広げる、表示する地域を広げる、といった形で使い道を探したくなります。しかし、上限を超えた分を使おうとして配信を広げたり、広く拾う設定のままにしたりすると、その分は、もともと狙っていた検索ではなく、関係の薄い検索に表示されて使われます。

私自身、ある会社の広告を見直したときに、同じことが起きていました。Google 広告の管理画面には「予算による制限」と出ていて、予算が足りないように見えました。ところが、実際に広告が表示された検索語句を確認すると、その会社の商品と関係の薄い検索にまで広告が出ていました。キーワードの設定が、言い回しの近い検索まで広く拾う設定になっていたためです。狙っていた検索は、もともと月にわずかしかありませんでした。「予算による制限」という表示は、今の設定のまま出し続けるには予算が足りない、という意味で、取るべき検索がまだ残っている、という意味ではありませんでした。

実際に広告が表示された検索は、Google 広告の左側のメニューで[キャンペーン]を選び、[分析情報とレポート]の[検索語句]を開くと確かめられます(Googleの「検索語句レポートについて」)。並んだ検索のうち、自社に頼む人の検索ではないものが多ければ、配信が広がりすぎています。見つけた検索は除外キーワードに足すと、次から表示されなくなります。一致の範囲を狭くしていても、Googleが同じ意味と判断した検索までは表示されるので、ときどき開いて確かめます。

余った予算は、広告の中で広げる代わりに、別の施策に回します。同じ検索の中で、広告ではない枠をクリックする人にも来てもらうなら、その枠に自社のページを出すSEO、まだ探していない人に知ってもらうなら、展示会や紹介、SNSなどです。SEOと広告の違いは、SEO集客を解説した記事で整理しています。

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検索数から出る上限を超えた予算は、広げずに移す 検索数から出る 上限を超えた予算 広げる 移す キーワードを増やす・言い回しの近い検索まで拾う・地域を広げる → 関係の薄い検索に表示されて使われる 狙った検索からのクリックは増えない 同じ検索で、広告ではない枠から来てもらう → SEO まだ探していない人に知ってもらう → 展示会・紹介・SNSなど
図6:検索数から出る上限を超えた予算の行き先。

広告費を使い切ることより、検索数から出る上限を見極めることのほうが、広告の成果を左右すると私は考えています。

月の予算を、1日の予算に直す

Google 広告では、予算を1日の平均額で設定します。月の予算を1日の予算に直すには、30.4で割ります。30.4は、1年の日数を12か月で割った、1か月の平均日数です(Googleの「1 日の平均予算について」)。月10万円なら、1日およそ3,300円です。

同じ資料は、費用の上限として、1日については〈1 日の平均予算の 2 倍〉、1か月については〈1 日の平均予算の 30.4 倍〉を挙げています(どちらも、ほとんどのキャンペーンでの上限)。Googleは、検索が多い日など、クリックを取りやすい日を逃さないように、予算を多めに使うことがあります。そのため、1日の費用は1日の予算の2倍まで上がる日があります。それでも、1か月の合計は、ほとんどのキャンペーンで1日の予算の30.4倍までです。1日の予算を月の予算÷30.4にしておけば、月の予算とほぼ同じ額が上限になります。キャンペーンを複数作るときは、それぞれに予算を割り振ります。日ごとの金額に驚いたら、月の合計で見てください。なお、Yahoo!広告では予算の決まりが異なるので、管理画面の説明を確かめてください。

日ごとの費用は上下しても、1か月の合計はほぼ月の予算まで 1日の上限:1日の予算の2倍 1日の予算(月の予算÷30.4) 日ごとの費用(例) 1か月の上限:1日の予算の30.4倍(≒月の予算)
図7:1日の予算と、1日・1か月の上限(Google 広告のほとんどのキャンペーンの場合)。日ごとの金額は一例です。

予算が少ないときは、1日のクリックの回数も見ておきます。月3万円なら1日およそ1,000円で、クリック単価が500円なら、1日2回クリックされると、その日の平均予算を使い切ります。この場合は、キーワードを広げずに、自社に頼む人が使うものに絞ったほうが、少ないクリックを無駄にしません。

自社で回すか、代理店に頼むか

代理店に運用を頼むと、広告費のほかに手数料がかかります。手数料は広告費の20%前後とされることが多く、最初にアカウントの設定などの初期費用がかかることもあります。

料率で決まる手数料は、広告費が少ないと成り立ちにくくなります。月30万円の広告費なら20%で6万円ですが、月3万円なら6,000円です。運用の手間は、広告費に比例して減るわけではないので、広告費が少ない場合に、手数料に最低額を置いたり、定額にしたりする代理店があります。

広告費が少ないと、手数料は料率どおりにならない 1か月の手数料(金額は一例) 広告費 月3万円 広告費 月30万円 料率20%だけ 6,000円 6万円 定額3万円 3万円 3万円 料率20% (最低5万円) 5万円 6万円 見積もりは、手数料の形と広告費を合わせた総額で比べる
図8:手数料の形ごとの1か月の手数料。金額は一例で、実際の料金は代理店ごとに異なる。

自社で回せば手数料はかかりませんが、管理画面を見る時間と、覚える時間がかかります。

自社で回す代理店に頼む
毎月の費用広告費だけ広告費+手数料(広告費の20%前後、または最低額・定額)
かかる手間始める前に、計測の設定・キーワード・広告文を作る。始めたあとは、予算の進み方をこまめに見て、月に1回は検索語句を開いて除外キーワードを足す報告を受けて判断する。目的と予算の上限を伝える
向いている場合狙うキーワードが少なく、広告費も少ない。月に1回、検索語句を見る時間を社内で取れる狙うキーワードが多い。その時間を社内で取れない

広告費が少ないときは、最初の設計だけを代理店に頼み、月々の確認は自社で行う、という分け方もあります。広告費が少ないと、手間がかかるのは始める前の設計のほうで、始めたあとの確認は少なく済むからです。

見積もりは、広告費、手数料(料率で出した額と最低額の大きいほう)、初期費用、リンク先のページの制作費を足した総額で比べます。

代理店に頼むときに、もう1つ見ておきたいのが、手数料の仕組みです。広告費に料率をかける手数料では、予算を減らす提案は、代理店の売上を減らす提案になります。担当者が不誠実だということではなく、手数料の仕組み上、予算を減らす提案がしにくくなりやすいということです。私も広告の運用を請け負う側にいるので、これは自分にも返ってくる話です。

だから、頼む前に「この予算だと、狙うキーワードで月に何回表示されて、何回クリックされる見込みですか。見込みを超えた分は、どこに使われますか」と聞いてみてください。検索数を見積もったうえで答えられる代理店なら、予算を減らす提案もできるはずです。

ARROWSのWeb広告の料金

ARROWSのWeb広告の運用手数料は、広告費の20%(税別)です。手数料に最低額はなく、初期費用もかかりません。広告費は別にかかり、GoogleやMicrosoftなどの媒体に直接お支払いいただきます。リンク先のLPの制作も別料金です。

手数料に含むのは、キーワードと広告の設計、広告の設定、運用と見直し、毎月の報告です。会社ごとに広告の記録(Web広告カルテ)をつくり、いつ何を変えたかと、そのあとの数字を残していくことも、手数料に含みます。

第7章で書いたとおり、ARROWSの手数料も広告費に料率をかける形です。予算を減らせば、ARROWSの手数料も減ります。そのうえで、広告費の額は、第4章のように、狙うキーワードの検索数から出る上限をもとに一緒に決めます。ご予算が検索数から出る上限を上回るときは、配信を広げず、SEOやSNS広告など、ほかの集客方法への配分をご提案します。初回のご相談で、狙うキーワードの検索数をもとに、広告費の目安をお出しします。第7章の終わりの質問は、ARROWSにも聞いてください。

まとめ

リスティング広告の予算は、相場からではなく、1件の費用から出した予算と、狙うキーワードの検索数から出る上限のうち、小さいほうを超えない範囲で決めます。

まずは、狙うキーワードの月の検索数とクリック単価を、キーワードプランナーで調べるか、見積もりを出した代理店に出してもらい、検索数から出る上限を出してみてください。代理店の見積もりがあるなら、出した上限と比べてください。見積もりのほうが大きければ、上限を超える分を、どの検索語句や配信対象に使う想定なのか確認してみてください。