ステップメールとは
ステップメールは、資料請求など、同じ行動をした人に、決めた順番と間隔で、一連のメールを自動で送るものです。たとえば、ホームページから資料を請求した人に、請求した当日、3日後、1週間後に、それぞれ別の内容のメールが届きます。送る日は、相手が資料を請求した日から数えて決まるので、10月3日に請求した人と10月12日に請求した人では、同じ3通目でも、届く日が違います。
よく比べられるのが、メルマガ(メールマガジン)です。メルマガは、送ってよいと確かめた相手全員に、同じ内容を、決めた日に送るメールです。毎月第2火曜日に送ると決めたら、その日に全員に同じメールが届きます。
ステップメールとメルマガの違いは、送る日の決まり方にあります。メルマガは送る側が決めた日に届き、ステップメールは相手が行動した日から数えて届きます。そのため、ステップメールは、資料を請求した直後のように、相手がその話題に関心を持っているうちに、続きの案内を届けられます。
もう1つ、よく似た言葉にシナリオメールがあります。シナリオメールは、メールを開いた、リンクを押したといった相手の反応で、次に送る内容を分けるものを指すことが多い言葉です。ステップメールは、反応で分けずに、決めた順番の流れを全員に送ります。ただ、呼び方は配信ツールの会社によって違い、ステップメールも含めてシナリオメールと呼ぶこともあります。
| メルマガ | ステップメール | シナリオメール | |
|---|---|---|---|
| 送る相手 | 送ってよいと確かめた相手全員 | 資料請求など、同じ行動をした相手 | 同じ行動をした相手のうち、反応で分けた相手 |
| 送る日の決まり方 | 送る側が決めた日(毎月第2火曜日など) | 相手が行動した日から数えて(当日・3日後など) | 相手が行動した日や、反応した日から数えて |
| 送る内容の決まり方 | 送る日ごとに選ぶ | 決めた順番どおり | 反応によって分かれる |
| 向く場面 | 定期的に思い出してもらう | 行動のあとに続けて案内する | 反応によって、知りたいことが違う |
※シナリオメールの範囲は、配信ツールの会社によって違う(筆者の整理)
ステップメールを自動で送るのは、配信ツールやMA(マーケティングオートメーション)ツールの機能です。どちらも、決めた順番と間隔を一度設定しておけば、相手が資料を請求するなどの行動をするたびに、その人の日付で送ります。配信ツールやMAツールの例として、HubSpotで機能のまとまり(Hub)ごとにできることと、無料のツールで送れるメールの範囲は、HubSpotの記事で解説しています。
ステップメールは、資料請求など同じ行動をした人に、決めた順番と間隔で、一連のメールを自動で送るものです。送る日は、相手が行動した日から数えて決まります。
メルマガも含めたメールマーケティング全体の進め方と、送る相手・送る内容・送る頻度の決め方は、メールマーケティングの記事で解説しています。
関連記事メールマーケティングとは?少ない人数で始める手順と、届いているかの確かめ方【テンプレート付き】
ステップメールのメリット・デメリット
ステップメールのメリットとして、よく挙げられるのは次のようなものです。
- 関心が高いうちに届く:資料を請求した直後など、相手がその話題を調べているうちに、続きの案内を届けられる
- 同じ説明を1人ずつ書かずに済む:入ってきた人ごとに、同じお礼や案内のメールを手で送る手間がなくなる
- 送り忘れがない:相手ごとに違う日でも、決めた日に抜けなく届く
- 一度作れば続く:流れを作っておけば、あとは入ってきた人に順に送られる
一方で、デメリットもあります。
1つ目は、最初に流れを作る手間です。何をした人に送るか、何通を何日おきに、何を送るかを決め、文面を書き、配信ツールに設定する必要があります。
2つ目は、相手の状況に関係なく、決めた順に届くことです。資料を請求した人が、2通目を受け取る前に電話で相談してきても、止める設定をしていなければ、3通目、4通目は予定どおりに届きます。
3つ目は、内容が古くなっても、そのまま配信されることです。メールで案内している料金や事例のページを直しても、メールの本文は作ったときのまま送られ続けます。
4つ目は、配信ツールが要ることです。相手ごとに違う日に送るので、個人のメールソフトで手作業で続けるのは難しくなります。
| デメリット | 何が起きるか | この記事で決めること |
|---|---|---|
| 最初に流れを作る手間 | 作り始めても、何から決めればよいか分からず止まる | 決める順番(第3章)と、何をした人に送るか(第4章) |
| 相手の状況に関係なく届く | 相談を始めた相手にも、決めた順の案内が届く | 返信や問い合わせが来たら止めて、人が連絡する(第5章) |
| 最後の1通で終わる | 送り終えた人との連絡が、そこで途切れる | 最後の1通のあとの行き先(第6章) |
| 内容が古くなっても、そのまま配信される | 直す前の料金や、終わった案内が届き続ける | 送るページの一覧を持ち、ページと一緒にメールも直す(第7章) |
表の3行目の「最後の1通で終わる」は、作るときに見落としやすいので、デメリットに加えています。最後の1通を送り終えた人をどうするかを決めていないと、続いていた連絡がそこで途切れます(筆者の整理)。4つ目の配信ツールは、第4章から第6章の3つを決めてから選ぶと、ツールに何ができればよいかが分かります。
ステップメールは、一度作れば関心が高いうちに抜けなく届く一方で、相手の状況や中身の古さに関係なく、決めた順に届き続けます。表の右の列は、第4章から第7章で、作る前に決めることとして説明します。
ステップメールの作り方の流れと、始める目安
ステップメールの作り方は、一般に次の順で説明されます。
- 目的を決める:資料を請求した人に相談してもらう、など
- 送る相手を決める:資料を請求した人、セミナーに申し込んだ人、など
- 流れを決める:何通を、何日おきに、何を送るか
- 文面を書く:件名と本文
- 配信ツールに設定する
- 送る前に確かめる:自分あてに送ってみる
- 始めたあとに、反応を見て直す
この記事では、3の流れ(何通を何日おきに、何を送るか)を決める前に、3つのことを先に決めます。2の送る相手は、この記事では「入口」として第4章で決めます。
- 入口:何をした人に送るか(第4章)
- 止める条件:返信や問い合わせ、商談になった人には、残りを送らずに人が連絡する(第5章)
- 終わったあと:最後の1通を送り終えた人を、どこへ渡すか(第6章)
この3つを先に決めるのは、2つの理由からです。1つは、通数と中身は、3つが決まると決めやすくなるからです。入口が決まれば1通目に何を書くかが決まり、終わったあとの行き先が決まれば最後の1通に何を書くかが決まります。もう1つは、決める前に始めると、そのあいだに入ってきた人に届いたメールは、あとから取り消せないからです。止める条件が決まっていないまま始めると、決まるまでのあいだに入ってきた人には、相談を始めたあとも案内が届きます。
始める目安も、先に決めておきます。メールマーケティングの記事では、少ない人数の会社なら、まずはメルマガ1種類から始め、相手や件数が増えてから、ステップメールを考える、としました。ナーチャリングの記事でも、送る相手が多くて手で回らなくなったら、MAツールを考える、としています。ステップメールも同じで、同じ入口から人が入ってきて、同じお礼や案内のメールを1人ずつ手で送るのが回らなくなったら、作り始めます。
まだ手で回るうちは、無理に作る必要はありません。手で送っているあいだに、入ってきた人が何を聞いてくるか、どの記事や事例を案内すると話が進むかが分かります。それが、ステップメールで送る中身の材料になります。
ステップメールは、通数と間隔を決める前に、入口・止める条件・終わったあとの3つを決めます。作り始めるのは、同じ入口から入ってくる人への案内が、手で回らなくなってからです。
通数より先に決めること①:何をした人に送るか(入口)を1つに絞る
この記事では、ステップメールを送り始めるきっかけになる行動を「入口」と呼びます。1つ目に決めるのは、この入口です。
ステップメールは、入口ごとに1本作ります。資料を請求した人と、セミナーに申し込んだ人では、知りたいことが違うからです。資料を請求した人には、その内容に関連する記事や事例を案内します。セミナーに申し込んだ人には、開催前の案内や、終了後の資料・補足情報を届けます。同じ流れを送ると、どちらかには合わないメールが届きます。
最初は、入口を1つに絞ります。いちばん件数の多い入口から1本作り、動かしてみてから、次の入口に広げます。
入口になる行動と、ならない行動は、次のように分けられます。
| 行動 | ステップメールの入口にするか | 理由 | 入口にしない場合の行き先 |
|---|---|---|---|
| 資料の請求・ホワイトペーパーのダウンロード | する | 同じ資料を見た人には、同じ続きを案内できる | — |
| セミナーの申し込み | する(資料請求とは別の1本) | 当日の案内と、終わったあとの続きが決まっている | — |
| 問い合わせ・見積もりの依頼 | しない | すぐに人が答える相手。自動の案内より、答えを待っている | その日のうちに人が答える |
| 展示会で名刺を交換した | しない | 話した中身が人によって違う | ナーチャリングの記事の「資料や名刺だけ」の相手(展示会の1〜2週間後に1回連絡) |
| メルマガへの登録 | しない | 月に1回のメルマガで届ける | メルマガの相手一覧 |
問い合わせや見積もりの依頼を入口にしないのは、相手がすでに答えを待っているからです。自動のメールで記事を案内するより、人がその日のうちに答えるほうが、相手の待っているものに合います。
入口が決まると、1通目に書くことが決まります。資料を請求した人への1通目なら、請求した資料のお届けと、請求してくれたことへのお礼です。そこに、「ご質問があれば、このメールにそのまま返信してください」と一言書いておくと、第5章の止める条件の1つ(返信が来た)につながります。
入口を決めるときに、もう1つ決めておくことがあります。同じ人が、もう一度同じ入口から入ってきたときの扱いです。たとえば、1回目の請求から1週間後に、同じ人が同じ資料をもう一度請求することがあります。そのまま2本目の流れが始まると、同じ人に、同じ1通目のお礼や、同じ事例の案内が二重に届きます。2回目は流れに入れない、または1本目を止めて新しい流れに入れ直す、のどちらにするかを決めておきます。どちらができるかは、配信ツールによって違います。
入口の行動は、ホームページの資料請求のフォームなどで起きます。フォームの送信を配信ツールにつなぐ作業は、ホームページを管理している会社(制作会社など)に頼むことが多いでしょう。そのときは、どのフォームを入口にするかを、自社から伝えます。あわせて、フォームに、案内のメールを送ってよいかを聞く欄を設けてもらいます。メールマーケティングの記事で触れたとおり、特定電子メール法では、広告や宣伝のメールは、原則として、あらかじめ同意した相手にしか送れないとされています。ステップメールの2通目からは記事や事例の案内なので、この欄で送ってよいと答えた人だけを流れに入れます。送ってよいと答えていない人には、請求された資料だけを届けます。
ステップメールは入口ごとに1本作り、最初はいちばん件数の多い入口1つに絞ります。問い合わせや見積もりの依頼は入口にせず、人がその日のうちに答えます。流れに入るのは、案内のメールを送ってよいと答えた人だけです。送ってよいと答えていない人には、請求された資料だけを届けます。
通数より先に決めること②:返信・問い合わせ・商談になったら止めて、人が連絡する
2つ目に決めるのは、止める条件です。この記事でいちばん大事なところです。
第2章で見たとおり、ステップメールは、相手の状況に関係なく、決めた順に届きます。メールマーケティングの記事やナーチャリングの記事と同じ、急ぎの小口試作を請け負う架空の部品加工会社で考えてみます。この会社は、ホームページに試作を頼むときのチェックリストを置いてから請求が増え、お礼と案内のメールを手で送るのが回らなくなったので、資料を請求した人に、当日・3日後・1週間後・2週間後の4通を送るようにしました。4通目では、試作を頼んだときの流れを案内し、「ご相談はこちら」と問い合わせのページへのリンクを置いています。
ある担当者が資料を請求し、3日後の2通目を読んだあと、「来月、試作を1つ頼みたい」と返信してきたとします。その日のうちに電話で話し、翌週に打ち合わせをすることになりました。止める条件を決めていなければ、この担当者には、1週間後に事例の案内が届き、2週間後には「ご相談はこちら」の案内が届きます。打ち合わせの日まで決めた相手に、相談の入り口を案内することになります。
そこで、次のようなことが起きたら、その人には残りのステップメールを送らず、人が連絡します。
- メールに返信が来た
- 問い合わせのフォームを送った
- 電話があった
- 「話を聞きたい」「見積もりがほしい」と言った
配信の停止を申し出た人にも、残りは送りません。こちらは人が連絡するのではなく、以後は送らない相手にします。
4つ目の「話を聞きたい」「見積もりがほしい」は、ナーチャリングの記事で、営業に引き継ぐ基準の例として挙げたものと同じです。ステップメールで案内を続けている相手が、この段階まで来たら、もう自動の案内の出番ではありません。
自動で止められるかは、ツールと機能で違う
止める条件の一部は、配信ツールの設定で、自動で止められることがあります。ただ、どう止めるかは、ツールによっても、同じツールの中の機能によっても違います。
たとえば、HubSpotには、営業の担当者が1人ずつの相手に一連のメールを送る機能(シーケンス)があります。HubSpotのヘルプは、いくつかのことが起きると、相手(コンタクト)がシーケンスから自動で外れる、としています。その1つが、返信です(返信があったら外す設定を、HubSpotでは「返信スイッチ」と呼んでいます)。
返信スイッチがオンになっており、そのコンタクトがEメールシーケンス内のメールのいずれかに返信した場合。
出典:HubSpot ナレッジベース『シーケンスからコンタクトを登録解除する』(2026年10月12日参照)
同じヘルプには、メールの中のリンクから打ち合わせの予約をした場合や、配信の停止のリンクを使った場合も、自動で外れると書いてあります。
一方、決めた条件で自動で動かす仕組み(ワークフロー)からメールを送る場合は、止め方が違います。ワークフローには、「目標」を決めておく設定があり、HubSpotのヘルプは次のように書いています。
コンタクトがワークフローでアクティブになり、目標条件を満たすと、そのコンタクトはワークフローから自動的に登録解除されます。
出典:HubSpot ナレッジベース『コンタクトベースのワークフローで目標を使用する』(2026年10月12日参照)
ここでいう「ワークフローでアクティブ」は、その流れに入っているあいだのことです。「登録解除」は、配信の停止ではなく、その流れから外れることを指します。目標の例として、同じヘルプは、特定のフォームを送信することなどを挙げています。問い合わせのフォームを送ったことを目標にしておけば、問い合わせた人は自動で外れます。ただ、このヘルプには、ワークフローのメールに返信したら外れる、という設定は書かれていません。
同じ製品の中でも、機能によって、自動で止める仕組みが違うということです。使える機能は、契約しているプランによっても違います。
自動で止める設定ができない条件は、人が止めます。返信を読んだ人、問い合わせや電話を受けた人が、その日のうちに、配信ツールでその人を流れから外します。電話や打ち合わせで「話を聞きたい」と言われたことは、どのツールも知りようがないので、聞いた人が外すしかありません。
使うツールで、何を条件に自動で止められるかは、そのツールのヘルプか窓口で確かめます。設定は、自社でするか、ツールの導入を手伝う会社に頼みます。
外しても、送ったメールは取り消せない
外すのが遅れると、そのあいだに送ったメールは取り消せません。HubSpotのヘルプも、シーケンスについて次のように書いています。
シーケンスから連絡先を登録解除しても、すでに送信済みのシーケンスメールは取り消されません。
出典:HubSpot ナレッジベース『シーケンスからコンタクトを登録解除する』(2026年10月12日参照)
外すのが遅れた分だけ、相談を始めた相手にも案内が届きます。止めるかどうかを、返信が来てから考えていると、そのあいだに次の1通が届いてしまいます。だから、止める条件は、最初の1通を送る前に決めておきます。
| 止める条件 | 誰が止めるか | 止めたあと、誰が何をするか |
|---|---|---|
| メールに返信が来た | 自動で止める設定があればツール。なければ、返信を読んだ人がその日に | 返信を読んだ人が答え、顧客の表に書く |
| 問い合わせのフォームを送った | フォームの送信で止める設定があればツール。なければ、問い合わせを受けた人がその日に | 問い合わせとして、その日のうちに答える |
| 電話があった | 電話を受けた人がその日に | 電話で聞いたことを顧客の表に書き、次に連絡する日を決める |
| 「話を聞きたい」「見積もりがほしい」と言った | 聞いた人がその日に | 商談に進める。営業の担当者がいれば、その人につなぐ |
| 配信の停止を申し出た | 配信ツール(停止のリンク) | 以後は送らない。メルマガの相手一覧にも入れない |
止めたあとは、人が連絡します。顧客の表(問い合わせや商談の相手を1社1行で書き、次に連絡する日を書いておく表)に、相手が言ったことと次に連絡する日を書いておきます。すぐに商談にならなかった相手に、いつ、何を送るかは、ナーチャリングの記事で、断られた理由と時期で分ける方法として解説しています。
関連記事ナーチャリング(リードナーチャリング)とは?いまは買わない見込み客に、次に連絡する時期を決めて育てる方法
返信や問い合わせ、「話を聞きたい」と言われたら、その人には残りのステップメールを送らず、人が連絡します。自動で止められない条件は、受けた人がその日のうちに流れから外します。
通数より先に決めること③:最後の1通のあと、どこへ渡すか
3つ目に決めるのは、最後の1通を送り終えた人をどこへ渡すか、です。
ステップメールは、決めた通数を送り終えると、そこで止まります。返信も問い合わせもないまま最後まで届いた人は、何もしなければ、そのあと一度も連絡を受けないまま残ります。資料を請求してくれたのに、2週間で連絡が途切れることになります。そうならないよう、終わったあとの行き先を、作るときに決めておきます。
行き先は、次の2つに分けて決めます。
1つ目は、返信も問い合わせもなく、最後の1通まで届いた人です。この人たちは、ナーチャリングの記事で、資料や名刺だけの相手として分けた人と同じです。そこでは、関心のありそうな話題の記事を送り、返事や問い合わせがあった人に連絡する、としました。少ない人数の会社なら、月に1回のメルマガで、記事や事例を届け続けるのが続けやすい形です。メールマーケティングの記事で作り方を説明した「送る相手の一覧」に1人1行で足し、どこで知ったかの欄には「資料請求」、送ってよいかの欄には、第4章の請求のフォームで「送ってよい」と答えたことを書きます。流れに入っているのは送ってよいと答えた人だけなので、最後まで届いた人は、そのまま一覧に足せます。
2つ目は、途中で返信や問い合わせがあった人です。この人たちは、第5章のとおり、途中で流れから外れ、人が連絡しています。すぐに商談にならなかった場合も、顧客の表で、次に連絡する日を決めて続けます。
最後の1通には、このあとどうなるかを書いておきます。メルマガに移すなら、「次回からは、月に1回、記事や事例をお届けします」のように書きます。相手は、急にメールの届き方が変わっても戸惑わずに済みます。
最後の1通まで届いた人は月に1回のメルマガへ、途中で止まった人は人が連絡する、と行き先を作るときに決めておきます。決めておかないと、最後の1通で連絡が途切れます。
最後の1通のあとの行き先も含め、資料請求や問い合わせを受けてから商談に進めるまでのうち、自社がどこから手を付けるかの決め方は、BtoBマーケティングの記事で解説しています。
何通を何日おきに、何を送るか
入口・止める条件・終わったあとが決まったら、何通を何日おきに、何を送るかを決めます。
通数と間隔には、決まった数はありません。目安として挙げられる数も、書き手によって違います。少ない人数の会社が最初に作るなら、私は、送れる記事や事例の数から通数を決めるのがよいと考えています。送れるものが3本なら、1通目の資料のお届けと合わせて4通、2本なら3通です。足りない分を新しく書こうとすると、作り終わるまで動き出せません。
間隔は、最初を詰め、あとになるほど広げるのが一般的です。資料を請求した直後がいちばん関心が高く、日がたつにつれて下がっていくからです。検討に数か月かかる仕事なら、後ろの間を2週間、1か月と広げます(筆者の目安)。
送るものは、新しく書く前に、すでにある自社の記事や事例、よくある質問への答えから選びます。メールマーケティングの記事やナーチャリングの記事と同じ考え方です。
第5章の部品加工会社で、資料を請求した人に送る4通を書いてみます。メールマーケティングの記事で、この会社が送れるものとして書き出した、試作を頼むときの注意点の記事、その日のうちに見積もりを出した事例、試作を1個から急ぎで頼んだときの流れの3本を使います。入口は、ホームページから請求できる資料(試作を頼むときのチェックリスト)です。
| 何通目 | いつ | 件名の案 | 送るもの | 案内するページ |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 請求した当日 | 試作を頼むときのチェックリストをお送りします | 請求した資料と、お礼。質問はこのメールに返信してよいと書く | 資料のダウンロードのページ |
| 2 | 3日後 | 試作を頼む前に、決めておくと早いこと | 試作を頼むときの注意点の記事 | 記事のページ |
| 3 | 1週間後 | 見積もりをその日のうちにお出しした例 | その日のうちに見積もりを出した事例 | 事例のページ |
| 4 | 2週間後 | 試作を1個から急ぎで頼むときの流れ | 試作を1個から急ぎで頼んだときの流れ。次回からは月に1回のメールで届けると書く | 流れを説明したページ・問い合わせのページ |
※架空の部品加工会社の例(筆者作成)。件名と日数は例で、決まった数ではない
件名には、そのメールで案内するものを書き、本文は、1通で案内するものを1つにします(筆者の目安)。
送るページの一覧を持ち、ページを直すときにメールも直す
ここで、もう1つ決めておくことがあります。各通で案内しているページの一覧です。
ステップメールの本文には、案内するページの中身を短く書き、リンクを置きます。つまり、同じ中身を、メールの本文とホームページのページの2か所に持つことになります。ステップメールでは、この2か所に持つこと自体は避けられません。
そして、ホームページのページを直しても、メールの本文は作ったときのまま送られ続けます。たとえば、事例のページの数字を新しくしても、3通目の本文に古い数字が書いてあれば、資料を請求した人には古いほうが届きます。料金を変えたときや、案内していたセミナーが終わったときも同じです。
私も、同じ内容を2か所に書いていて、片方だけ直したまま気づかなかったことがあります。直した側は、直したつもりでいるので、もう片方が古いままだとは思いません。ステップメールでは、古いほうを読むのは、資料を請求したばかりのお客さんです。
そこで、各通で案内しているページの一覧を作ります。一覧には、何通目で、どのページを案内しているか(URL)と、メールの本文に、そのページのどの中身(料金・日付・事例の数字など)を書いているかを書きます。ホームページのページを直すときは、この一覧を見て、そのページを案内しているメールがあれば、同じ日にメールの本文も直します。直したら、ページを直した日とメールを直した日の両方を書いておきます。
ホームページの更新を、制作会社などに頼んでいる場合は、この一覧を渡しておきます。そのうえで、一覧にあるページを直すときは知らせてもらうように頼みます。ページを直す人と、メールを直す人が別なので、知らせてもらわないと、メールだけが古いまま残ります。
もう1つの工夫は、メールの本文に、ページの中身を書きすぎないことです。料金や日付、事例の細かい数字はページに任せ、メールには「詳しくはこちら」とリンクを置く形にしておけば、ページを直したときに、メールまで直す場所が減ります(筆者の工夫)。
ホームページのページを直すときの手順と、直したあとに確かめることは、ホームページの更新方法の記事で解説しています。
関連記事ホームページの更新方法は?自分で直せる範囲と、直したあとに確かめること
通数は送れる記事や事例の数から決め、間隔は最初を詰めてあとを広げます。各通で案内しているページは一覧にしておき、ページを直すときに、メールの本文も同じ日に直します。
送る前に確かめることと、始めたあとに見る数
流れと文面ができたら、確かめることは2つに分かれます。お客さんへの配信を始める前に確かめるものと、配信を始めてから確かめるものです。
| いつ | 確かめること | やり方 | 誰が |
|---|---|---|---|
| 始める前 | 文面とリンク | 配信ツールのテスト送信で、全通を1通ずつ自分に送り、各通のリンクを押して、案内したページが開くかを見る | 自社 |
| 始める前 | 配信の停止ができるか | 別のアドレスで入口から入り、1通目の停止のリンクを押して、止められるかを見る | 自社 |
| 始める前 | 送信元の認証(届いたメールが、自社のドメインから本当に送られたものかを、受け取る側が確かめるための設定) | メールマーケティングの記事の第6章のとおり、ホームページを管理している会社など、ドメインの管理画面を持っている人に聞く | ドメインの管理画面を持っている人 |
| 始める前 | 送ってよい相手か・メールに表示すること | ナーチャリングの記事の「気をつけること」で確かめる | 自社 |
| 始めてから | 決めた日どおりに届くか | 自分のアドレスを本番の流れの最初の1人として入れ(資料を請求する)、最後の通まで届くかを見る | 自社 |
| 始めてから | 止める条件が効くか | 別のアドレスで入口から入り、届いたメールに返信し、返信を読む人の受信箱に届くか、次の通が届かないかを見る。自動で止める設定をしたほかの条件も試す | 自社(設定は配信ツールを設定する人) |
決めた日どおりに届くかと、止める条件が効くかは、届くはずの日まで待たないと分かりません。最後の通が2週間後なら、2週間かかります。そこで、この2つは、お客さんへの配信を始めてから確かめて構いません。そのあいだに返信や問い合わせが来たら、受けた人が手で外します。
私は、自分のアドレスを、本番の流れの最初の1人として入れておくのがよいと考えています。お客さんに届くものと同じものが自分にも届くので、あとで文面を直したときにも、届いた形で確かめられます。反応を数えるときは、自分の分を除きます。
始めたあとは、反応を数えます。開封率は、そのまま読むと間違えやすい数です。理由は、メールマーケティングの記事の第7章で説明しています。見るのは、リンクを押した人の数、返信、問い合わせです。
ステップメールでは、これに、もう1つ加えます。途中で止まって、人の連絡に移った人の数です(そのうち、話ができた人の数も)。私は、ステップメールの役目は、最後の1通まで届けることではなく、資料を請求した人のうち、話を聞きたい人を見つけて、人が話せるところまでつなぐことだと考えています。最後まで届いた人の数より、途中で止まって人の連絡に移った人の数のほうが、役目を果たしたかを表します。止めた人は、顧客の表の「経過」の列に「ステップメールの2通目のあと返信」のように書いておけば、月に1回、数えられます。
月に1回、反応を数えるときに、送るページの一覧も見直します。前の月に直したページがあれば、メールの本文も直してあるかを確かめます。
配信を始める前に、文面とリンクをテスト送信で確かめ、配信の停止と送信元の認証を確かめます。決めた日どおりに届くかと止める条件は、自分を最初の1人として入れ、始めてから確かめます。始めたあとは、途中で止まって人の連絡に移った人の数を見ます。
ステップメールの設計表(テンプレート)
この記事の第4章から第8章に沿って、ステップメールを作る前に決めることを書き込めるように、設計表(Excel)を用意しました。ファイル1つに、次の3つのシートが入っています。
- 使い方:書く順番と、それぞれのシートで何を書くか
- 1_設計表:入口1つにつき1枚。上に、入口、送ってよいかの確かめ方、同じ人がもう一度入ってきたときの扱い、止める条件と止める人、止めたあとの連絡の担当、終わったあとの行き先を書く。下の表に、各通の何日後、件名の案、送るもの、案内するページのURL、メールに書いている中身、ページを直した日、メールを直した日を書く
- 2_記入例:架空の部品加工会社の、資料請求の4通の記入例
ステップメールを配信ツールに設定する前に「1_設計表」を書いておけば、シートの下の表がそのまま送るページの一覧になります。ページを直すときは、この表を開いてから直します。
※登録や個人情報の入力は要りません。クリックすると、Excelのファイル(ステップメールの設計表.xlsx)がダウンロードされます。
ARROWSのHubSpot運用支援
ステップメールの計画からHubSpotでの設定まで任せたい場合は、ARROWSのHubSpot運用支援をご覧ください。資料請求のあとに送るステップメールの設定も、この支援に含みます。HubSpotをまだ入れていない場合は、先にHubSpot導入支援で使える状態に整えます。
最初に、だれに、いつ、何を送るかを整理し、配信の計画をつくります。第4章の入口と、第7章の何通を何日おきに何を送るかは、この計画の中で一緒に決めます。送るものは、自社の記事や事例から選びます。ARROWSは、サイトの記事とメールを、お客さんの悩みという同じところから考えます。
メールの配信はARROWSが受け持ち、顧客情報や商談の管理は社内で行う、という分け方もできます。第5章の、止めたあとの連絡は、社内の方が受け持ちます。配信を始めてからは、メールが問い合わせや商談につながったかを確かめ、次の配信に生かします。
まとめ
ステップメールは、資料請求など同じ行動をした人に、決めた順番と間隔で、一連のメールを自動で送る仕組みです。少ない人数の会社が作るときは、何通を何日おきに送るかより先に、何をした人に送るか、返信や問い合わせ、商談になった人には止めて人が連絡すること、最後の1通のあとにどこへ渡すかを決めておきます。送る中身は自社の記事や事例から選び、そのページを直すときに、メールも一緒に直します。
まずは、いちばん件数の多い入口を1つ選び、設計表に、止める条件と終わったあとの行き先を書いてください。そのうえで、送れる記事や事例を書き出し、その数で通数を決め、各通で案内するページを一覧にするところから始めます。




