「SNS集客はもう古い」と言われる理由
SNSでの集客は、少し前まで「無料で始められ、続ければフォロワーが増えて問い合わせにつながる」とよく紹介されていました。いまそれが古いと言われるのは、主に次の3つが重なっているためです。
投稿が、フォロワーにも届きにくくなった
SNSは、どの投稿を誰の画面に出すかを、サービスごとの仕組みで決めています。この仕組みはアルゴリズムと呼ばれます。多くのSNSでは、フォローしている相手の投稿を新しい順に並べるだけでなく、利用者が興味を持ちそうな投稿を選んで出す比重が大きくなりました。そのため、フォロワーが増えても、投稿がその全員に届くとは限りません。いいね、コメント、保存のような反応(まとめてエンゲージメントと呼ばれます)が少ない投稿は、フォロワーの画面にも出にくくなる傾向があります。
企業のアカウントと広告が増えて、埋もれやすくなった
SNSで集客しようとする会社が増え、同業の会社も同じ場所で発信しています。SNSの画面には広告も多く流れます。利用者が1日に見られる投稿の数には限りがあるため、1本の投稿が目に留まる機会は、以前より減っていると考えられます。
投稿を作り続ける手間は、減らない
SNSは無料で始められる一方で、投稿を作り続ける手間がかかります。写真や動画を撮り、文章を書き、反応を見ながら次の投稿を考える必要があります。こうした手間は、フォロワーが増えても減りません。
投稿が届きにくくなった一方で、手間は変わらない。手間に見合う問い合わせが得られないと、「SNS集客はもう古い」と感じるようになります。ただ、SNSそのものが使われなくなったわけではありません。
SNSを使う人が減ったわけではない
「古い」という言葉からは、SNSを使う人が減っているように聞こえます。ところが、総務省の令和7年版 情報通信白書を見ると、XとInstagramの利用率は、この10年ほどで大きく上がっています。
Xの利用率は2014年の21.9%から2024年には50.3%へ、Instagramは2015年の14.3%から60.9%へ上がりました。2024年には、50代の利用率も、Xが43.6%、Instagramが52.7%です。白書も、幅広い年齢層に利用が広がっているとまとめています。
白書の数字から言えるのは、SNSを使う人が減ったわけではない、というところまでです。そのうえで「SNS集客はもう古い」と感じる理由は、第1章で見たように、企業の投稿がお客さんの画面に届くまでの条件が変わり、以前より届きにくくなったことにあると考えられます。
問題はSNSではなく、SNSだけに頼ること
SNSを使う人は多い一方で、SNSだけで集客するのは難しくなっています。そこで問題になるのが、集客をSNSだけに頼ることです。SNSだけに頼ると、次の3つの弱さをそのまま抱えることになります。
- 投稿を止めると、新しい人に届かなくなる。過去の投稿は残るが、まだ知らない人の画面には出にくい
- サービスの仕様や規約が変わると、その影響をそのまま受ける。表示の仕組みや使える機能は、自社では決められない
- 投稿が流れていくので、会社のことをまとめて見せにくい。何の会社で、何を頼めるのかを確かめたい人は、過去の投稿をさかのぼって探すことになる
逆に言えば、SNSの弱いところをほかの場所が受け持てば、SNSを続ける意味は残ります。役目の分け方は第6章で説明します。その前に、そもそも自社がSNSを続けるべきかを決める必要があります。次の章では、その判断を難しくしている理由から見ていきます。
SNSの効果は、SNSの分析画面の外に出る
SNSをやめるかどうかを考えるとき、まず開くのは各SNSの分析画面でしょう。投稿が見られた数、いいねやコメントの数、プロフィールが見られた数、プロフィールのリンクがクリックされた数などが並びます。ただ、この数字だけで判断すると、SNSの効果を見誤ることがあります。
SNSで会社や店を知った人が問い合わせるまでには、いくつかの経路があります。
- 投稿やプロフィールのリンクから、そのままホームページへ移って問い合わせる
- その場では何もせず、あとで会社名や店名で検索し、ホームページやGoogleマップの情報を確かめてから問い合わせる
- 投稿で見た店に、そのまま来店する・電話する
SNSの分析画面で追えるのは、主に1の経路です。ただし、確認できるのは、投稿やプロフィールのリンクがクリックされたところまでです。あとで会社名や店名で検索した人は、SNSの分析画面では「投稿を見ただけの人」に数えられます。検索結果からホームページを開けば、ホームページのアクセス解析では「検索から来た人」に数えられますが、Googleマップの情報を見てそのまま電話した人は、アクセス解析にも残りません。SNSを見てそのまま来店したり電話したりした人については、SNSがきっかけだったことが自動では記録されません。
そのため、SNSの分析画面では問い合わせにつながっていないように見えても、SNSで知った人が別の経路で問い合わせている可能性があります。反対に、反応が多くても、問い合わせにはつながっていないこともあります。どちらなのかは、SNSの中の数字だけでは分かりません。
やめるかどうかは、SNSの外の2つで決める
では、SNSの中の数字だけで決められない場合、何を見ればよいのでしょうか。判断材料になるのは、SNSの外にある次の2つです。どちらも、自社でできる作業です。
お客さんは、検索で探しているか
1つ目は、自社のお客さんが、困りごとを解決したいときや依頼先を探すときに、検索を使っているかどうかです。
一般に、企業向けの商材、単価の高い商品やサービス、地域に根ざした商売、専門的な仕事、急ぎの用件は、SNSより検索で探されやすいと言われます。雨漏りの修理を頼みたい人が、SNSを開いて業者を探すことは多くないでしょう。
ただ、業種だけでは決められません。同じ業種でも、扱う商品や地域によって、お客さんの探し方は違います。自社がどれに当てはまるか分からない場合も、確かめる方法があります。自社のお客さんが使いそうなキーワードで、実際にスマートフォンで検索してみることです。たとえば、雨漏りの修理を請け負う会社なら「〇〇市 雨漏り 修理」のように、地域名と、お客さんが頼みたいことを組み合わせて検索します。キーワードをいくつか変えて検索しても、数分で終わる作業です。
- 同業の会社のページや、Googleマップの店・会社の情報が並ぶなら、Googleがそのキーワードを、依頼先を探す検索として扱っていると考えられる。探している人がいる見込みは高いが、何人が検索しているかまでは、この確かめ方では分からない。SNSだけでは、検索している人の前に出にくい
- キーワードの言い方を2〜3通り変えても、同業の会社がほとんど出てこず、関係のない記事ばかりが並ぶなら、お客さんは検索では探していないかもしれない。その場合は、SNSや紹介、展示会など、検索の外の接点が主な入口になる
キーワードの選び方や検索結果で確認するポイントは、SNS・検索・広告などを使った「Web集客」の選び方とあわせて、次の記事で詳しく解説しています。
関連記事Web集客とは?主な方法と選び方、何から始めるかは検索結果を見て決める
SNSで知った人は、問い合わせに来ているか
2つ目は、実際の問い合わせのうち、SNSで知った人がいるかどうかです。第4章で見たとおり、これはSNSの分析画面では分かりません。確かめるには、問い合わせや来店のたびに「どこで知りましたか」と聞いて、記録します。やることは、問い合わせを受けるたびに質問を1つ加えるだけです。
- 電話や来店では、用件を聞いたあとに「どこで知りましたか」と尋ねる。「検索で」と返ってきたら、「その前に、どこかで見かけましたか」と質問を加える
- 問い合わせフォームには「どこで知りましたか」の項目を足し、当てはまるものをすべて選べるようにする(SNS・検索・紹介・その他など)
- 日付と相談の内容と一緒に、表に書き残す
「Instagramで見て、そのあとホームページも見た」のように、答えが2つ返ってくることもあります。その場合は、両方を記録しておきます。何か月か続けると、SNSで知った人がどれくらいいるか、ほかの経路と比べてどうかが見えてきます。
2つを重ねて決める
2つの答えを重ねると、SNSをどうするかの目安が見えてきます。
2つの問いに答えると、組み合わせは4通りです。
- 検索で探されていて、SNSで知った人もいる:SNSは続けたうえで、検索の側(記事やサービスのページ、Googleマップの情報など、検索したときに出てくる場所)も足す
- 検索で探されていて、SNSで知った人はいない:手間を検索の側へ移し、SNSは頻度を下げて残すか、やめるかを考える
- 検索ではあまり探されていないが、SNSで知った人はいる:SNSを主な入口として続ける
- 検索で探されておらず、SNSで知った人もいない:SNSをやめる前に、投稿の中身や、発信する場所がお客さんのいる場所と合っているかを見直す。記録で多かった入口(紹介や展示会など)があれば、そちらに手間を回すことも考える
ただし、「いる」といっても、何か月かで1〜2件なのか、問い合わせの多くを占めるのかで、手間のかけ方は変わります。毎週の投稿にかけている時間と、SNSをきっかけにした問い合わせの数を比べ、手間の配分を見直します。
記録を始めたばかりのころは回答数が少ないため、数か月続けてから判断します。季節によって問い合わせ数が変わる商売では、繁忙期と閑散期を少なくとも一度ずつ含む期間、記録を続けます。答えが少ないうちに「SNSで知った人はいない」と決めないようにします。
続けるなら、SNSに任せる役目と、ほかに足すもの
SNSを続けると決めたら、SNSに何を任せ、何をほかの場所に任せるかを分けます。第3章で見たSNSの弱さを、ほかの場所で受け持つためです。
SNSには、会社や店を知ってもらう入口の役目を任せます。日々の仕事の様子、新しいお知らせ、どんな人がどんな考えで仕事をしているかは、流れていく投稿と相性のよい中身です。投稿だけで問い合わせまで完結させようとせず、興味を持った人を、詳しい情報を確認できる場所へ案内する役目と考えます。
ホームページは、SNSで知った人が確かめに来る場所です。投稿で見た仕事を頼めるのか、どう連絡すればよいのかが、ホームページで分かるようにしておきます。プロフィールのリンク先をホームページにしておくと、SNSから移ってきた人が、そのまま会社のことを確かめられます。ホームページがない会社が、作るかどうかを決める方法は、次の記事で解説しています。
関連記事ホームページがない会社のデメリットとは?作るかどうかは自社名を検索して決める
検索の側は、第5章で「検索で探されている」と分かった場合に足します。探している人の疑問に答える記事やサービスページを作ったり、地域に根ざした商売であれば、Googleビジネスプロフィール(Googleマップに表示される店・会社の情報)を整えたりします。Googleビジネスプロフィールは、会社名で調べた人が場所や連絡先を確かめる場所にもなります。
探している人の疑問に答える記事を、どこに書き、続けるかどうかを何で判断するかは、ブログ集客の記事で解説しています。
関連記事ブログ集客とは?自社ホームページに書く理由と、続けるかどうかの判断方法
手間の配分も見直します。いまの投稿の頻度にこだわらず、頻度を下げて、その分の手間をホームページや検索の側に回すという選び方もあります。SNSへの投稿やGoogleビジネスプロフィールの更新は、自社で行うこともできます。ホームページや記事は、自社で書くことも、制作会社に頼むこともできます。SNSの運用を外部に依頼する場合でも、仕事の様子や考え方など、投稿のもとになる情報は自社から共有する必要があります。
ARROWSのマーケティングコンサルティング
SNSを続けているのに、問い合わせにつながっているのか分からない。ARROWSのマーケティングコンサルティングは、そうしたご相談から始められます。アクセス解析やSearch Consoleを使っていれば、そのデータを会社ごとのデータベース(カルテ)に取り込み、いまのサイトと集客の状態を確かめるところから始めます。
第5章の2つの答えによって、手間をかける先は変わります。この支援では、SEO・AI検索対策、広告、SNSなどのうち、その時期に必要なものを、1つの月額の中で受け持ちます。記事やページの制作は、別にお見積もりします。毎月、実行した内容と数字の動きをお見せし、次の月の打ち手を一緒に決めます。第5章の「どこで知りましたか」の記録は、そのときの判断の材料になります。
記事の作成をARROWSに頼む場合は、その記事の要点をXで届けるX運用も、あわせて頼めます。
まとめ
SNS集客が古いと言われるのは、SNSを使う人が減ったからではなく、企業の投稿が届きにくくなり、SNSだけで問い合わせまでつなげるのが難しくなったからです。やめるかどうかは、SNSの分析画面の数字ではなく、お客さんが検索で探しているかと、SNSで知った人が問い合わせに来ているかで決めます。
まずは、次の問い合わせから「どこで知りましたか」と聞いて記録を始めてみてください。あわせて、お客さんが使いそうなキーワードで検索し、検索結果に何が表示されるかを確かめてください。何か月か記録がたまると、SNSを続けるか、減らすか、検索の側を足すかを決める材料がそろいます。




