KGIとは
KGIは、Key Goal Indicator の頭文字を取った言葉で、日本語では「重要目標達成指標」と訳されます。会社や事業が、期限までにたどり着きたいゴールを数字で表したものです。
KGIは、「何を」「どれだけ」「いつまでに」の3つをそろえて、一文で書きます。たとえば「来年度(3月末)までに、会社全体の売上を1億6,500万円にする」のような形です。この3つのどれかが欠けると、ゴールにたどり着いたかどうかを判断できません。「売上を伸ばす」では、いくらになれば達成なのかが決まっていません。「売上を1億6,500万円にする」だけでは期限が分からず、いつ達成を確認するのかも決まりません。
KGIを決めておくと、社内で「どこまで達成すればよいか」という認識がそろいます。途中の数字から達成の見込みを確認でき、期限が来たときには、達成できたかどうかをはっきり言えます。
反対に、ゴールの数字を決めずに始めると、あとで成果を語れなくなります。私が関わった採用サイトのリニューアルでは、公開後に成果を振り返っても、確認できたのは採用のページを見た人の数と、どの経路から訪れたかだけでした。応募の数は測っていなかったので、「応募が増えた」とは言えませんでした。何が増えればゴールに届いたことになるのかを、作る前に決めていなかったからです。KGIは、「何を・どれだけ・いつまでに」を一文にした、ゴールの数字です。
KGIとKPIの違い
KGIを調べると、KPIやKSFという言葉も一緒に出てきます。それぞれの役割と違いは、次のとおりです。
| KGI | KSF | KPI | |
|---|---|---|---|
| 正式名 | Key Goal Indicator(重要目標達成指標) | Key Success Factor(重要成功要因) | Key Performance Indicator(重要業績評価指標) |
| 役割 | ゴールの数字 | ゴールにたどり着くためのカギ | カギを打ち手にしたとき、打ち手が効いているかを測る数字 |
| いくつ置くか | 1つのゴールに1つ | ゴールごとに一文 | 打ち手ごと |
| 確認する時期 | 期限が来たとき | —(数字ではない。当たっているかはKPIの動きで確かめる) | 途中で(月・四半期ごと) |
| 例(架空) | 来年度、会社全体の売上を1億6,500万円にする | 当日中に見積もりを返せる速さを、急ぎの小口の試作に生かす | 当日中に返した見積もりの割合、急ぎの試作の注文の件数 |
KGIとKPIの違いを一言で言えば、KGIはゴールにたどり着いたかを測る数字で、KPIはゴールへ向かう途中を測る数字です。KGIは1つのゴールに1つ、KPIは打ち手ごとに置きます。KPIの選び方や、決めたKPIの確かめ方は、KPIの記事で解説しています。
違いを取り違えると、途中の数字だけが増えて、ゴールは動かないことがあります。私が関わったリスティング広告の運用で、ページを最後まで読む、問い合わせのページへ移る、といった問い合わせの手前の行動を、広告の自動入札の「成果」として設定していたことがあります。自動入札はその「成果」を増やすように動くので、管理画面の成果の数は多いのに、本当の問い合わせはほとんど無い月が続きました。KPIの記事では、問い合わせの手前の軽い行動を目安に見る例を書きましたが、それは人が判断の材料として見る使い方です。広告の仕組みに「成果」として渡すのは、問い合わせのボタンが押された、フォームが送られた、のように問い合わせそのものに近い行動にします。
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ほかに、打ち手をどれだけ実行したかを測る数字をKDI(Key Do Indicator)と呼ぶこともあり、KPIの記事で置いた「やった量」の数字に当たります。目標を決める方法にはOKR(Objectives and Key Results)もあり、こちらは達成できるか分からない高めの目標を置いて、組織の向きをそろえる方法です。この記事では、期限までにたどり着くゴールの数字を決める、KGIの使い方に絞ります。
KGIはゴールにたどり着いたかを測る数字、KPIはゴールへ向かう途中を測る数字で、途中の数字をゴールの代わりにはしません。
KGIはKPIより先に決める
KGIとKPIのどちらを先に決めるかといえば、KGIが先です。KPIは、ゴールにたどり着くための打ち手が効いているかを測る数字なので、ゴールが決まっていなければ、何を測ればよいかも決まりません。まずKGI(ゴールの数字)を決め、そこへたどり着くカギ(KSF)には、SWOT分析などで決めた方針の一文を置きます。そのうえで具体的な打ち手を決め、打ち手ごとにKPIを置きます。
KGIは、会社全体にも、事業ごとにも、部署ごとにも置けます。小さな会社でよく使うのは、次のような形です。
| 置く単位 | 何を | 例(架空) |
|---|---|---|
| 会社全体 | 売上(残したい利益から出す) | 来年度、会社全体の売上を1億6,500万円にする(利益を600万円残すため) |
| 事業ごと | その事業の売上 | 来年度、急ぎの試作の売上を800万円にする |
| 部署ごと | 部署が受け持つ数字 | 来年度、新しい取引先を12社増やす |
同じ件数の数字でも、その部署が期限までにたどり着くゴールならKGI、ゴールへの途中を測るならKPIです。どの単位でも、1つのゴールに置くKGIは1つに絞ります。KGIが2つあると、2つがぶつかったとき(売上を取りにいくと利益が減る、など)に、どちらを優先するかで判断が分かれます。
会社全体のKGIで迷いやすいのが、売上にするか、利益にするかです。上の表では、売上をKGIにし、利益はその理由として添えています。なぜそうするのかを、次の章で説明します。KGIを先に決め、KPIはそのあとで決めます。KGIは1つのゴールに1つに絞ります。
KGIは売上と利益のどちらにするか
売上だけをKGIにすると、その売上で利益が残るかが分かりません。値引きをして多く売れば、売上の目標には届きます。けれども、材料費や外注費は売った分だけかかるので、値引きした分だけ、手元に残るお金は減ります。売上は届いたのに、利益は前の年より減っていた、ということが起こり得ます。
反対に、利益だけをKGIにしても、何をどれだけ売ればよいかは分かりません。利益は、売上から費用を引いた結果なので、利益の目標だけでは、営業や現場が日々追いかける数字に置き換えにくいのです。
そこで、KGIには売上を置き、利益はその売上を決める根拠として使います。まず残したい利益を決め、そこから、その利益を残すために必要な売上を出して、売上のKGIにします。必要な売上を計算するために、まず次の4つの言葉で、売上・費用・利益の関係を整理します。
- 変動費:材料費・仕入れ・外注費など、売上が増えると一緒に増える費用
- 粗利(限界利益):売上から変動費を引いた残り
- 固定費:人件費・家賃・リース料など、売上が増えても減っても、毎月ほぼ同じだけかかる費用
- 利益:粗利から固定費を引いた残り
この記事でいう粗利は、売上から変動費だけを引いた残りです。管理会計では「限界利益」と呼ばれ、第5章で紹介する中小機構の資料でも、この呼び方が使われています。決算書の「売上総利益」も粗利と呼ばれますが、製造業などでは数字が違うことがあります。決算書の売上原価には、工場の人件費のような固定費も入っているからです。そのため、決算書の売上総利益率をそのまま粗利率に使わず、売上から、材料費・外注費など売上に比例してかかった費用だけを引いて出します。
この分け方で見ると、利益を残すには、粗利で固定費をまかない、さらに残したい利益の分まで粗利を稼ぐ必要があります。KGIには、残したい利益を先に決めて、そこから出した必要な売上を置きます。
固定費と変動費は、決算書や毎月の試算表から拾えます。費用の性質は会社によって異なるため、固定費と変動費のどちらに分けるか迷うこともあります。工場で働く人の人件費は、決算書では売上原価に入っていることがあります。固定費に数えたら、変動費からは外します。顧問の税理士がいれば、一緒に確かめておくと安心です。
KGIの数字は、残したい利益から逆算する
必要な売上の出し方は、中小企業基盤整備機構(中小機構)の起業マニュアルに、式として載っています。起業する人向けのマニュアルですが、中小機構は、経営計画の解説ページで〈起業する人向けに書かれていますが、経営者の方でも十分に使えます。〉として、すでに事業をしている経営者にも勧めています。
出典:中小企業基盤整備機構『マンガでわかる「経営計画(事業計画)」』(原著作物:中小企業庁(ミラサポplus)・2026年10月7日に参照)
計算は2つの段階に分けて考えます。まず、利益がちょうどゼロになる売上(損益分岐点売上高)を求めます。資料では、その式が「損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率」と書かれています。損益分岐点売上高は、次のように説明されています。
損益分岐点売上高とは、利益がプラスでもマイナスでもない0(トントン)のときの売上高をいいます。
次に、残したい利益(目標利益)を足して、必要な売上を出します。
「必要売上高=(固定費+目標利益)÷(1-変動費率)」
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21『損益分岐点を使った目標売上高』(起業マニュアル「5.事業計画書をつくる」)
式の「1-変動費率」は、1から、売上のうち変動費が占める割合(変動費率)を引いたもので、売上のうち粗利が占める割合(粗利率)のことです。つまり、必要な売上は「(固定費+残したい利益)÷ 粗利率」で出せます。
この式は、マニュアルの中では事業計画書の損益計画を作るための式として説明されていて、KGIという言葉は出てきません。ただ、KGIの「いくら」を決めるときに、そのまま使えます。残したい利益を先に置けば、その利益を残すために必要な売上が、根拠のある数字として出てくるからです。
架空の部品加工会社で計算してみます。KPIの記事とSWOT分析の記事で例にした会社です。
- 固定費:年6,000万円(人件費・工場の家賃・機械のリース料など)
- 粗利率:40%(売上のうち、材料費と外注費を引いて残る割合)
- 残したい利益:年600万円
まず、利益がゼロになる売上は、6,000万円 ÷ 40% = 1億5,000万円です。次に、600万円の利益を残すために必要な売上は、(6,000万円+600万円)÷ 40% = 1億6,500万円です。この会社のKGIは、「来年度、会社全体の売上を1億6,500万円にする」になります。これは会社全体の粗利率で出した、最初の目安です。第7章で事業ごとに分けると書き直します。
売上と費用の関係を線で描くと、次のようになります。費用の線は、売上がゼロでも固定費の6,000万円から始まり、売上が増えると、変動費の分だけ上がっていきます。売上が1億5,000万円のところで、売上の線と費用の線が交わります。ここが利益ゼロの点で、これより売上が少なければ赤字、多ければ黒字です。1億6,500万円のところで、売上の線と費用の線のあいだが、残したい利益の600万円になります。
粗利率は、業種や会社によって大きく違います。同じ固定費と残したい利益でも、粗利率が30%なら必要な売上は2億2,000万円、50%なら1億3,200万円です。ほかの会社の数字や業界の平均ではなく、自社の決算書や試算表から出した粗利率を使います。
残したい利益は、その使い道をもとに決めます。借入金の返済、来年の設備の入れ替え、手元に残しておきたい資金など、来年度に必要なお金を足し上げます。返済や設備に回すお金は、税金を払ったあとの利益から出ていきます。そのため、式に入れる残したい利益は、税金を払う前の額です。足し上げた額に、税金の分を上乗せして決めます。社員の賞与を固定費の人件費に入れているなら、ここには足しません。税金の分をどれだけ上乗せするかと、どこまでを入れるかは、顧問の税理士と一緒に確かめておくと安心です。KGIの「いくら」は、残したい利益を決め、「(固定費+残したい利益)÷ 粗利率」で必要な売上を出して決めます。
前年の売上と比べて、届くかを確かめる
売上のKGIを「前年比で何%増」という形で決めている会社は多いと思います。前年の売上を見ること自体は、悪くありません。前年の売上は、自社が実際に届いた数字なので、届くかどうかを見るよい物差しになります。ただ、それだけでは、その売上でどれだけ利益が残るかは分かりません。
そこで、前年比は、決めるためではなく確かめるために使います。第5章で出した必要な売上を、前年の売上と並べて比べます。部品加工会社の前年の売上が1億5,500万円だったとすると、必要な売上の1億6,500万円とは1,000万円の差があります。前年の売上は、利益ゼロの売上を500万円上回るだけなので、前年と同じ売上なら、粗利は6,200万円(1億5,500万円×40%)で、固定費を引くと利益は200万円しか残りません。
差を見て、次のように判断します。
- 必要な売上が前年の売上を下回る:前年並みで、残したい利益まで届く。残したい利益が低すぎないかを見直す
- 差を、これまでの伸び方で埋められる:そのままKGIにする
- 差が大きく、これまでの伸び方では埋められない:次の3つのどれを動かすかを決める
部品加工会社の差は1,000万円で、前年からの伸びは約6.5%です。ここ数年の伸び方で埋められる差だとすれば、そのままKGIにします。
差が大きいときに動かす3つのうち、1つ目は、残したい利益です。600万円が本当に来年度に必要な額かを、使い道からもう一度確かめます。2つ目は、費用です。固定費を下げるか、値上げや仕入れの見直しで粗利率を上げれば、必要な売上は下がります。たとえば固定費を300万円下げれば、必要な売上は(5,700万円+600万円)÷ 40% = 1億5,750万円になります。3つ目は、期限です。1年で届かない差なら、2年や3年で届く計画にし、1年目のKGIをその途中の数字にします。期限を延ばすと、1年目に残せる利益も減るので、返済や設備に回す時期もあわせて見直します。
売上を伸ばすことだけが、利益を残す方法ではありません。私が事業の責任者を務めていたときも、売上を伸ばす取り組みと並行して体制を見直し、売上を維持しながら固定費を下げました。必要な売上と前年の売上の差が大きいときほど、売上の側だけで埋めようとせず、費用の側も一緒に見ます。
中小機構の経営計画の解説でも、収支計画で試算した数字をもとに、目標が達成できるかを確かめ、必要に応じて目標を見直すとされています。
この数値計画に基づいて、目標で設定した数値目標が可能であるかを検証し、必要に応じて目標設定を見直します。
出典:中小企業基盤整備機構『マンガでわかる「経営計画(事業計画)」』
中小機構の同じページは、根拠のない高い目標を戒めたうえで、次のようにも書いています。差が小さすぎるときに、残したい利益が低すぎないかを見直すのは、このためです。
その一方で、現状の延長線上にある目標では、会社の成長・発展につながりません。
出典:中小企業基盤整備機構『マンガでわかる「経営計画(事業計画)」』
必要な売上を前年の売上と比べ、差が大きすぎるときは、残したい利益・費用・期限のどれを動かすかを決めてから、KGIにします。
会社全体のKGIを、事業ごとのKGIに分ける
会社全体のKGIが決まったら、事業ごとのKGIに分けます。事業が1つなら、会社全体のKGIがそのまま事業のKGIです。事業によって粗利率が違うときは、分けたあとの売上の合計が、第5章で出した数字と少し変わります。分けたあとは、会社全体の売上のKGIも書き直します(理由はこの章の最後で説明します)。分けた数字を足し上げて、会社全体に届くかを確かめておくと、根拠を説明できる数字になります。中小機構の経営計画の解説も、数値目標は事業別などの売上(利益)を積み上げて設定すると説得力が増す、としています。
商品・サービス別、事業別、顧客別などの売上高(利益額)を積み上げて設定すると、説得力が増してきます。
出典:中小企業基盤整備機構『マンガでわかる「経営計画(事業計画)」』
部品加工会社は、SWOT分析で「急ぎの小口の試作を、来年の柱にする」と決めていました。SWOT分析の記事では、分析結果をもとに「どの強みを、どの機会に生かすか」を考え、方針を一文にまとめる手順を解説しています。
関連記事SWOT分析とは?基本の書き方と、一覧で終わらせず次の打ち手につなげる方法【テンプレート付き】
KPIの記事では、この方針のKGIを「来年度、急ぎの試作の売上を〇〇円にする(〇〇は自社の数字で)」として、数字を空けていました。この〇〇を、会社全体のKGIから埋めます。
分けるときは、売上ではなく粗利で考えます。事業によって粗利率が違うからです。会社全体で必要な粗利は、固定費6,000万円と残したい利益600万円を足した6,600万円です。いまの事業が前年並みの売上(1億5,500万円)なら、稼げる粗利は6,200万円なので、足りない粗利は400万円です。この400万円を、新しい柱の急ぎの試作で稼ぎます(ここでは、前年の売上に急ぎの試作はほとんど入っていないとします。入っている場合は、前年の1億5,500万円から試作の売上を外して、いまの事業の売上として同じ計算をします)。
急ぎの試作では、短納期に対応するための追加料金を設定できます。ここでは、粗利率がいまの事業より高い50%だと仮定します。すると、急ぎの試作の売上は、400万円 ÷ 50% = 800万円です。KPIの記事で空けていたKGIは、「来年度、急ぎの試作の売上を800万円にする」になります。
このとき会社全体の売上は、1億5,500万円と800万円を足した1億6,300万円で、第5章で出した1億6,500万円より200万円少なくなります。それでも、粗利は必要な6,600万円に届きます。第5章の1億6,500万円は、会社全体の粗利率を40%と置いたときの数字で、粗利率の高い急ぎの試作が加わる分、少ない売上で届くからです。事業ごとに分けたあとは、会社全体の売上のKGIも1億6,300万円に書き直します。
もし急ぎの試作の粗利率が、いまの事業と同じ40%なら、必要な売上は1,000万円になります。同じ400万円の粗利でも、粗利率によって売上のKGIは変わります。事業ごとのKGIを売上で決めるときも、その事業の粗利率で計算し直します。
いまの事業が複数あるときや、いまの事業も伸ばすときも、やり方は同じです。事業ごとに、見込みの売上と粗利率から粗利を出し、足りない分をどの事業で稼ぐかを決めます。そのうえで、各事業の売上のKGIから見込まれる粗利を足し上げ、会社全体で必要な粗利に届くかを確かめます。いまの事業の見込みが前年より下がりそうなら、その分も新しい柱で埋めるか、第6章の3つ(残したい利益・費用・期限)に戻って見直します。会社全体で必要な粗利から、いまの事業で稼げる粗利を引き、足りない分を、新しい事業の粗利率で割って、事業ごとのKGIにします。
KGIを経営計画に書き、KSF・KPIへ進む
決めたKGIは、経営計画(事業計画)に目標として書きます。中小機構は、経営計画の基本の要素を「現状把握」「目標設定」「取り組み」の3つとしています。KGIを決めるのは、2つ目の「目標設定」の段です。
1つ目の現状把握は、自社と市場・競合の状況を調べる段で、3C分析がここに当たります。SWOT分析で方針を一文に絞るのは、KGIと同じ2つ目の目標設定の段です。3つ目の取り組みは、目標にたどり着くための打ち手を決め、打ち手ごとにKPIを置く段です。KPIの記事は、この3つ目の段を扱っています。
経営計画にKGIを書くときは、数字と一緒に、その数字にした理由も書いておきます。固定費、粗利率、残したい利益と、そこから出した必要な売上です。理由が書いてあれば、期中に固定費や粗利率が変わったときに、KGIを見直すべきかどうかをすぐに判断できます。KGIの数字だけが書いてある計画では、前提が変わったときに目標が妥当かを判断できず、計画は見られなくなっていきます。
補助金の申請書に売上や利益の数値目標を書く欄があるときも、この記事で出した数字と、その理由(固定費・粗利率・残したい利益)を下書きに使えます。何をどう書くかは補助金ごとに違うので、申請する補助金の公募要領で確かめてください。
KGIを書いたら、次はそこへたどり着くための打ち手と、打ち手ごとのKPIを決めます。第2章で紹介したKPIの記事では、カギ(KSF)にSWOT分析で絞った一文を置き、打ち手とKPIを決める流れと、SMART(具体的か・測れるか・達成できるか・目標とつながるか・期限があるかの5つの問い)やKPIツリー(ゴールから打ち手ごとのKPIまでを1枚につないだ図)での確かめ方、四半期ごとの見直し方を解説しています。
その一文に書いた強みが、お客さんの決め手になっているかを、打ち手を始める前に、最近の受注と失注の記録で確かめる方法は、KSFの記事で解説しています。
関連記事KSFとは?意味と、受注・失注の決め手から見つける方法【テンプレート付き】
出した数字を第三者に見てほしいときは、国が設置した無料の経営相談窓口「よろず支援拠点」や、商工会・商工会議所に相談できます。KGIは、決めた理由(固定費・粗利率・残したい利益)と一緒に経営計画の目標設定の段に書き、そのあとで打ち手とKPIを決めます。
KGIのテンプレート
自社で計算するときに使えるように、この記事の手順に沿ったKGIのテンプレート(Excel)を用意しました。ファイル1つに、次の5つのシートが入っています。
- 使い方:書く順番と、それぞれのシートで何を書くか
- 1_必要な売上を出す:固定費・粗利率・残したい利益を入れると、利益ゼロの売上と必要な売上が出る
- 2_届くかを確かめる:前年の売上と必要な売上の差と、差が大きいときに動かす3つ(残したい利益・費用・期限)を書く欄
- 3_KGIを書く:会社全体のKGIの一文と、事業ごとのKGI(粗利で足りるかを確かめる)
- 4_記入例:架空の部品加工会社で、必要な売上から事業ごとのKGIまで書いた例
固定費・粗利率・残したい利益の3つを入れれば必要な売上が出て、前年の売上や事業ごとの粗利率などを入力すれば、事業ごとのKGIまで1つのファイルで計算できます。 KGIが決まったら、KPIのテンプレートの「1_KPIを決める」のゴール(KGI)の欄に写して、打ち手とKPIを決めるところへ進めます。
※登録や個人情報の入力は要りません。クリックすると、Excelのファイル(KGIテンプレート.xlsx)がダウンロードされます。
ARROWSのマーケティングコンサルティング
KGIを経営計画に書いたあと、第8章の3つ目の段「取り組み」で決めるのが、打ち手と、打ち手ごとのKPIです。打ち手のうち、ホームページや検索から問い合わせを増やす打ち手は、ARROWSのマーケティングコンサルティングで一緒に決められます。ご契約のあと、事業の内容と集客に関する数字を伺い、半年の集客の設計図をつくります。設計図に書く施策の優先順位と、成果を確かめる指標・目標が、第8章でいう打ち手とKPIにあたります。
施策を実行したあとは、施策を実施した時期と内容、その後の数字の変化を、会社ごとのデータベース(カルテ)に並べて記録します。カルテを使った解析も、この支援に含まれます。毎月のご報告で、打ち手ごとのKPIがどう動いたかをお見せし、次の月の打ち手を一緒に決めます。打ち手を決める前に、いまのサイトの状態を一度だけ確かめたいときは、Web解析のスポット解析(カルテのデータを調べて改善案をつくり、打ち合わせでご説明します)も頼めます。
まとめ
KGIは、期限までにたどり着くゴールの数字です。その「いくら」は、前年比からではなく、残したい利益から「(固定費+残したい利益)÷ 粗利率」で必要な売上を出して決めます。そのうえで前年の売上と比べて届くかを確かめてから、経営計画に書きます。
まずは、自社の決算書か試算表を開き、固定費と、売上から変動費を引いた粗利の割合(粗利率)を出してください。そのうえで、来年度に残したい利益を、使い道から決めます。3つの数字がそろえば、必要な売上が出ます。第9章のテンプレートの「1_必要な売上を出す」に入れれば、そのまま計算できます。出た数字を前年の売上と並べて届くかを確かめ、事業ごとに分けたら、決めた理由と一緒に経営計画に書きます。KGIが決まったら、KPIの記事に沿って、打ち手とKPIを決めてください。




