コーポレートサイトとは、会社そのものを紹介するサイト

コーポレートサイトは、会社が自社を紹介するためのWebサイトです。どんな会社で、何をしていて、どこにあり、どう連絡すればよいかをまとめて載せます。企業サイトや公式サイトと呼ばれることもあります。

日本では「ホームページ」という名称が、Webサイト全体を指す意味で広く使われています。本来はサイトの最初のページ(トップページ)を指しますが、「会社のホームページ」と言うとき、多くはこのコーポレートサイトのことです。

会社が持つサイトには、ほかにもいくつかの種類があります。分かれ目は、何を紹介し、見た人に何をしてもらいたいかです。

サイト何を紹介するか見た人にしてもらいたいこと
コーポレートサイト会社そのもの会社を知り、信頼してもらう
サービスサイト特定のサービス・商品問い合わせや申し込みをしてもらう
採用サイト仕事の中身・働く環境応募してもらう
ECサイト商品その場で買ってもらう
ランディングページ(LP)1つの商品・サービス広告などから来た人に、1つの行動をしてもらう

中小企業では、これらの役割をコーポレートサイト1つで持っていることも少なくありません。サービスサイトや採用サイトを別に作るかどうかは、第6章で考えます。

何のために持つか:会社が実在し、信頼できることを示す

コーポレートサイトの目的は会社ごとに違いますが、土台にあるのは「この会社は実在し、安心して取引できる」と確かめてもらうことです。

初めて聞く会社の名前を知ったとき、多くの人はまず検索して、その会社のサイトを開きます。何をしている会社か、どこにあるか、どんな仕事をしてきたか、代表は誰か。そこに書かれていることで、会ってみるか、見積もりを頼むかを決めます。求職者も同じで、応募する前に会社のサイトを見て、どんな会社かを確かめます。法人口座の開設や融資の相談のときに、金融機関が会社のサイトを見ることもあります。

そのうえで、取引先を増やす、採用に力を入れる、問い合わせを増やす、といった会社ごとの目的を決めます。

目的を先に決めるのは、目的によって、誰に向けて書くか、何を載せるか、公開後にどの欄を更新し続けるかが変わるからです。採用に力を入れたい会社なら、仕事の中身や働く環境を厚く載せ、募集の状況を更新し続けることになります。取引先を増やしたい会社なら、何ができる会社かと、これまでの実績を厚くします。目的が決まらないまま作り始めると、何を載せるかを選ぶ基準がなく、どこかで見た会社のサイトと同じような構成になりがちです。

目的が決まると、見に来る人・載せるページ・更新する欄が決まる 目的 何のために持つか 見に来る人 誰に向けるか 載せるページ 何を載せるか 更新する欄 何を続けるか 例:採用に力を入れる会社 採用に力を入れる 求職者 仕事の中身・働く環境 募集の状況
図1:目的から決まるもの。目的が決まらないと、載せるものを選ぶ基準がない。

目的を決めるのは、制作会社ではなく自社です。制作会社は目的に合った形を提案できますが、会社として何を優先するかまでは決められません。

ここまでは、すでにサイトがあるか、作ると決めている会社の話です。まだ持っていない会社は、社名を検索した人にいま何が見えているかを確かめると、作るかどうかを決めやすくなります。確かめ方と決め方は、ホームページがない会社のデメリットを解説した記事で扱っています。

関連記事ホームページがない会社のデメリットとは?作るかどうかは自社名を検索して決める

誰が見に来るか:中小企業では、取引先と求職者が中心

コーポレートサイトを見に来る人は、顧客、取引先、求職者、株主・投資家、報道関係者など、会社と関わりのある人すべてです。

ただ、株主や投資家に向けたページ(IR情報)が要るのは、主に上場している会社です。上場していない中小企業では、IR情報のページを作る必要がないことが多いでしょう。上場していない中小企業のサイトを見に来るのは、取引先(お客さんを含む)と求職者が中心で、そこに金融機関や協力会社、仕入れ先が加わる、というのが実際に近いのではないでしょうか。店舗や一般のお客さん向けのサービスなら、いちばんはお客さんです。そして、それぞれが確かめたいことは違います。

中小企業のコーポレートサイトに見に来る人と、確かめたいこと 取引先 商談や発注の前 何ができる会社か・実績・所在地 求職者 応募の前 どんな会社か・仕事の中身・働く環境 金融機関 口座の開設や融資の相談 実在するか・事業の中身 協力会社・仕入れ先 取引を始める前 どんな会社か・連絡先 株主・投資家に向けたページ(IR情報)は、主に上場している会社に要る
図2:見に来る人ごとに、確かめたいことが違う。中小企業の場合の例。

見に来る人が分かると、載せるものが決まってきます。第2章で決めた目的と合わせて、誰をいちばんに考えるかを、自社で決めておきます。採用が目的なら求職者、取引先を増やしたいなら取引先です。採用のページと取引先向けの実績が同じ重さで並ぶと、どちらを見に来た人も探しにくくなります。迷ったら、この先1年でいちばん増やしたいのが仕事か人かで決めます。

何を載せるか:最低限のページと、持っている実績や認定

見に来る人が確かめたいことから、載せるページが決まります。多くの会社で最低限必要になるのは、次の5ページです。

  • 会社概要:社名・所在地・電話番号・代表者・設立・事業内容など
  • 事業・サービスの紹介:何ができる会社か
  • 実績:これまでの仕事のうち、掲載の許可を得ているもの
  • 問い合わせ:フォームと電話番号
  • プライバシーポリシー:問い合わせなどで受け取る個人情報の扱い

採用情報やお知らせは、目的に応じて足します。

最低限の5ページと、目的に応じて足すページ トップページ 会社概要 事業・サービス 実績 問い合わせ プライバシー ポリシー 目的に応じて足す 採用情報 お知らせ
図3:最低限のページ構成。採用情報とお知らせは、目的と、更新を続けられるかで決める。

5つのページがそろったら、次に見るのは、持っているのに載せていないものです。取得している認定や資格、受賞、導入件数などは、社内では当たり前になっていて、載せ忘れていることがよくあります。

載せるときに気をつけたいのが、それが誰の実績かです。以前、ある会社のサイトを作ったとき、「選ばれる理由」に並べた実績の一部が、実はその会社を含むグループ全体で得たもので、その会社だけの実績だと受け取られかねない書き方になっていました。指摘したのは制作側の私たちではなく、先方の現場の担当者です。直すときは、実績の一つひとつに断りを足すのではなく、見出しを「当社の実績」から「グループの実績」のように変えて、グループとしての実績であることを先に示しました(見出しの文言は一例)。持っているものを載せることと、それが誰のものかを正確に書くことは、セットで考える必要があると実感した仕事でした。グループ会社でなくても、協力会社と一緒にやった仕事や、代表が前の会社で手がけた仕事では、同じことが起きます。

一方で、実績を載せられない会社も少なくありません。たとえば製造業の下請けでは、秘密保持の約束が厳しく、どの会社のどの製品に関わったかを出せないことがよくあります。その場合は、社名や製品名を出さずに書ける範囲で、何ができる会社かを示します。扱っている加工や作業の種類、対応できる業種などです。

そして、実績はサイトを作るときになって集めるものではありません。仕事を受けて契約するときに、サイトに載せてよいかの了承をもらい、写真や仕事の内容を記録しておきます。そうしておけば、サイトを作るときにも、公開後に実績を足すときにも、材料がそろっています。

こうした材料を用意できるのは、自社だけです。制作会社は、渡された材料を読みやすく整えたり、取材や撮影を引き受けたりはできますが、会社の事実や実績そのものは、自社でしか用意できません。会社概要のページに載せる項目ごとの書き方と、載せたくない情報の扱いは、会社概要の書き方を解説した記事で扱っています。

関連記事会社概要の書き方とは?載せる項目と記入例、載せたくない情報の扱いまで

Googleも、会社の情報をコーポレートサイトから読み取る

コーポレートサイトを読むのは、人だけではありません。Googleも、検索結果に会社のサイトを出すときに、サイトに書かれている会社の情報を読み取っています。

この章で自社が決めるのは、社名・住所・電話番号の書き方を1つにすることです。構造化データをページに書き込む作業は、制作会社に頼めます。

たとえば、検索結果に表示されるサイトの名前です。Googleは「Google 検索に対してサイト名を指定する」で、〈Google 検索の検索結果ページに表示されるサイト名は、サイトのホームページのコンテンツとウェブ上の参照元ページを考慮して、自動的に生成されます〉としています。ここでいうホームページは、サイトのトップページのことです。同じ資料でGoogleは、〈ホームページ全体で一貫したサイト名を使用してください〉とも書いています。トップページにサイトの名前をどう書くかが、検索結果に出る名前にも関わるということです。

また、会社の情報を、検索エンジンが読み取りやすい決まった形でページに書き込んでおく方法があります。構造化データと呼ばれるもので、画面には表示されず、ページのコードの中に書きます。Googleは「組織(Organization)の構造化データ」で、〈ホームページに組織の構造化データを追加すると、Google は組織の管理情報の詳細を把握して、検索結果で組織を明確化できるようになります〉としています。自社とほかの組織を見分けやすくなり、ロゴなどが検索結果に表示されることもある、ということです。社名、所在地、ロゴ、連絡先などを書く形が用意されています。この情報を置く場所についても、同じ資料は〈ホームページまたは組織の説明を掲載した単一のページ(例: 企業情報ページ)に配置することをおすすめします〉としています。

つまり、トップページと会社概要は、人が会社を確かめる場所であると同時に、Googleが会社の情報を読み取る場所でもあります。そこで大事になるのが、社名や住所の書き方を1つにそろえることです。

トップページと会社概要は、人が会社を確かめ、Googleが会社の情報を読み取る場所 トップページ・会社概要 人(取引先・求職者など) 会社を確かめる Google 会社の情報を読み取る 会社の情報を載せているところで、社名・住所・電話番号を同じ書き方にそろえる トップページ 会社概要 フッター(下部) 問い合わせのページ
図4:トップページと会社概要は、人にもGoogleにも会社の情報のもとになる。だから、会社の情報を載せているところの書き方をそろえる。

会社概要に書く社名・住所・電話番号の正式な書き方を、自社で1つ決めます。そのうえで、トップページ、ページ下部の会社情報の欄(フッター)、問い合わせのページなど、会社の情報を載せているところを、同じ書き方にそろえます。

構造化データをコードに書く作業は、ふつう制作会社に頼みます。Googleは「構造化データに関する一般的なガイドライン」で、〈ページの読者に表示されないコンテンツをマークアップしないでください〉としています。マークアップは、ここでは構造化データとして書き込むことです。構造化データに書く中身は、画面に出ている会社概要にも書かれている必要がある、ということです。頼むときは、会社概要と同じ情報を構造化データにも書いてもらってください。書くのは、確定している事実だけです。予定の数字や、まだ取っていない認定を書くと、人の目に見えない場所で、事実と違う情報を出すことになります。私も自分のサイトの構造化データには、取得した資格だけを書いています。

サービスサイトや採用サイトと分けるか

会社のサイトを作るとき、サービスサイトや採用サイトも一緒に作るべきか、迷うことがあります。最初は、コーポレートサイト1つで始めるのが基本です。サイトを分けると、作る費用も、公開後に更新する場所も、サイトの数だけ増えるからです。

サイトを分けるのは、それぞれの目的がはっきり異なってきたときです。サービスへの問い合わせを増やしたい場合、会社全体を紹介するコーポレートサイトだけでは、比較や検討に必要な情報を十分に載せられないことがあります。採用に力を入れる場合も、仕事の中身や働く環境を厚く載せようとすると、コーポレートサイトの中の1ページでは足りなくなります。

最初は1つで始め、目的が分かれたら分ける コーポレートサイト1つ 会社を知ってもらう サービスの問い合わせを増やしたい → サービスサイトを分ける 採用に力を入れる → 採用サイトを分ける 分けても、会社の情報の基準はコーポレートサイトに置く
図5:分けるかの判断。分けると、作る費用と更新する場所がサイトの数だけ増える。

分けたあとも、会社の情報の基準はコーポレートサイトに置きます。サービスサイトや採用サイトにも会社概要を載せるなら、第5章でそろえた書き方と同じにします。

ただ、問い合わせが増えない理由が、サイトを分けていないことにあるとは限りません。問い合わせが来ない理由をどこから確かめるかは、ホームページの問い合わせを増やす方法を解説した記事で扱っています。

サービスサイトを作ると決めたときに、コーポレートサイト内・サブドメイン・別ドメインのどこに作るかと、何を載せるかは、サービスサイトの記事で解説しています。

関連記事サービスサイトとは?コーポレートサイト内・サブドメイン・別ドメインの選び方

誰が作り、誰が更新するか

コーポレートサイトを作る作業は、自社でしかできないものと、外に頼めるものに分かれます。制作会社に頼む場合でも、自社でしかできない作業は残ります。

表で使う用語を、先に説明します。CMSは、専門の知識がなくても文章や写真を差し替えられる、サイトを更新するための仕組みです。サーバーは、サイトのデータを置いておく場所で、借りて使うのが一般的です。ドメインは「〇〇.co.jp」のような、サイトのアドレスに入る会社ごとの名前です。SSLは、サイトとの通信を暗号化する設定で、設定されているサイトはアドレスが「https」で始まります。

作業誰がやるかいつ
目的と、誰に向けるかを決める自社作り始める前
実績の掲載の了承をもらい、写真や仕事の内容を記録する自社仕事を受けるときから
載せる材料を用意する(会社概要の事実・事業の説明・実績・認定や資格・写真・代表のあいさつ)自社(文章を整えるのは制作会社に頼める)作り始める前から制作中
社名・住所・電話番号の書き方を決める自社作り始める前
デザインと構築、CMSの導入制作会社(作成サービスで自分で作るなら自社)制作中
サーバーとドメインの契約、SSLの設定制作会社か自社(契約の名義がどちらになるかは確かめておく)制作中
構造化データを書く制作会社制作中。公開後も、会社概要を直したら同じ中身に直してもらう
公開後の更新自社(制作会社に頼むこともできる)公開後ずっと

とくにドメインの名義が制作会社のままだと、制作会社を替えるときにドメインを移せないことがあります。サーバーも、契約の名義と管理画面に入る情報を、自社で持っておきます。

ホームページ作成サービスを使って自社で作る場合は、表で制作会社になっている作業も、自社の作業になります。作成サービスで作るなら、構造化データを入れられるかを、サービスを選ぶ前に確かめておきます。機能の説明やヘルプで「構造化データ」を探し、見つからなければ「会社の情報(Organization)の構造化データを設定できますか」と問い合わせます。

作ったあとに続くのが、更新です。コーポレートサイトの更新は、欄によって頻度が違います。

作ったあとに続く更新は、欄によって頻度が違う お知らせ 出来事があるたびに更新する 続けられないなら、欄を置かない 実績 仕事が終わり、載せてよいと確かめられたたびに足す 会社概要・事業 所在地・電話番号・代表者・資格などが変わったときに直す ほかに、決算のあとなど毎年1回見直す 画面に出ない構造化データも、同じ中身に直してもらう
図6:作ったあとに続く更新。更新できる人と頻度を、作る前に決めておく。

なかでも気をつけたいのが、お知らせの欄です。最新のお知らせが数年前のままになっていると、見た人に「この会社は今も動いているのだろうか」と思わせてしまいます。更新を続けられないと分かっているなら、お知らせの欄は置かない、という判断もあります。会社概要は、変わったときに直すほか、決算のあとなど毎年同じ時期に見直すと、直し忘れが残りません。

CMSを導入すれば社内で更新できるようになりますが、基本的な操作を覚える時間は必要です。誰が更新するのか、誰が中身を確かめてから公開するのかを、作る前に決めておきます。更新する人が決まっていれば、その人が使いやすい管理画面や運用の仕方にしてほしいと、制作会社に頼むこともできます。

公開したあと、管理画面で自社が直せる範囲と、直す前に控えておくもの、直したあとに確かめることは、ホームページの更新の記事で解説しています。

関連記事ホームページの更新方法は?自分で直せる範囲と、直したあとに確かめること

ARROWSのコーポレートサイト制作

第3章から第5章で見た、誰が見に来るか、何を載せるか、Googleに会社の情報をどう伝えるかを、ARROWSのコーポレートサイト制作では、作り始める前に一緒に整理します。

見に来る人ごとに確かめたいことを整理して、それに答えるページと、伝える順番を決めます。会社概要には、社名・所在地・代表者・事業などの公式な情報をまとめ、自社で決めた正式な書き方に、ほかのページやフッターもそろえます。第5章で見た構造化データは、制作の初めから組み込みます。

公開したあと、お知らせや実績は、社内で更新できます。第4章の最低限のページのうち、会社概要と問い合わせを先に公開し、残りのページをできたものから足していく進め方も選べます。

まとめ

コーポレートサイトは、人が会社を確かめに来て、Googleが会社の情報を読み取る場所です。だから、誰に向けるかを先に決め、会社の書き方を1つにそろえ、自社で更新し続けられる範囲で作ります。

まずは、何のためにサイトを持つのか、誰にいちばん見てほしいのかを決めてください。そのうえで、社名・住所・電話番号の正式な書き方を1つに決め、会社概要に載せる事実と、持っている認定や資格、実績を書き出してみてください。ここまでそろっていれば、制作会社に頼むときにも、何を作ってほしいかを伝えやすくなります。