ブランディングとは何か
ブランディングは、選ばれる理由を決めて、発信し続けることです。
ブランドという言葉は、家畜に押した焼印に由来すると言われます。自分の家畜を、ほかの家畜と区別するための印です。そこから、ほかと区別できる名前や印を指すようになりました。現在では、ほかと区別され、選ばれている状態まで含む意味で使われています。
ブランドとブランディングは、指しているものが違います。ブランドは、相手の頭の中にできる「この会社はこういう会社だ」という認識です。選ばれる理由を決めて発信し続けるのは、この認識をつくるためです。ブランドは相手の側にできるものなので、会社が直接つくることはできません。会社にできるのは、その認識をつくるための、ブランディングのほうです。
ロゴやWebサイトは、ブランディングの手段です。ロゴを新しくしても、Webサイトを作り直しても、選ばれる理由が決まっていなければ、相手の頭に「〇〇ならこの会社」とは残りません。見た目を整えることがブランディングだと受け取られやすいのは、手段のほうが目に見えるからです。
選ばれる理由を、すでに仕事を頼んでくれた相手が、頼んだ理由として言った言葉から決める方法は、バリュープロポジションの記事で解説しています。
選ばれる理由を決め直すリブランディングは、この活動の途中で起きる1回の出来事です。ブランディングは、その前後も途切れずに続きます。
決め直すときに何を残し、何を変えるかは、リブランディングの記事で扱っています。
ブランドを作る要素と、3つの分け方
ブランドは、相手が会社と接するたびに受け取るものの積み重ねでできています。要素に分けると、おおむね次のものです。
| 要素 | 決めておくこと |
|---|---|
| 名前 | 何と名乗り、どう略すか |
| 言葉 | 会社を一文でどう言うか、説明にどんな言い回しを使うか |
| ロゴ | マークと文字の形、その使い方 |
| 色・書体 | どの色と書体を、どう組み合わせるか |
| 写真・図 | 何をどう撮るか、図をどう描くか |
| 接点 | どこで相手と会うか(Webサイト、営業資料、名刺、SNS、展示会、採用ページ) |
| 体験 | 問い合わせ、納品、その後のやりとりで、何を守るか |
上の5つは、会社が決めておく中身です。下の2つは、その中身を相手が受け取る場面です。ただ、相手から見ると、この区別はありません。名刺の書体も、電話の受け方も、同じ会社から受け取ったものとして一緒に記憶されます。
ブランディングは、何を打ち出し、誰が受け取るかで、次の3つに分けられます。
| 分け方 | 受け取る人 | その人が会社と接する場面 |
|---|---|---|
| 企業 | 取引先、求職者、地域の人 | Webサイト、会社案内、展示会、採用の面接 |
| 商品・サービス | その商品やサービスを選ぶ人 | 商品のページ、パッケージ、使ったときの体験 |
| 社内 | 社員 | 朝礼、社内の資料、上司の判断 |
社内に向けるものは、インナーブランディングとも呼ばれます。3つは受け取る人も進め方も違いますが、中身は切り離せません。企業として言っていること、商品で約束していること、社員が日々言っていることが食い違えば、どれも積み重なりません。社内の話は、第8章で改めて扱います。
3つのうち、企業に向けたブランディングを会社の約束を一文にするところから進める手順は、コーポレートブランディングの記事で解説しています。
ブランディングの目的
ブランディングの目的は、比べられる前に選ばれることです。
ものを選ぶ人は、多くの場合、すべての候補を並べて比べてはいません。用件ができたときに頭に浮かんだいくつかの中から選びます。浮かばなかった会社は、その場で選ばれることがありません。反対に、「この用件ならあの会社」と最初に浮かべば、ほかと並ぶ前に声がかかることがあります。
比べられる前に選ばれると、会社の側では次のことが起きます。
値段の話から始まらなくなります。 横並びで比べられると、差として見えやすいのは値段です。先に選ばれていれば、話は値段からではなく、何を頼みたいかから始まります。
会社の説明に使う時間が減ります。 何の会社かが相手に伝わっていれば、初回の打ち合わせを会社紹介から始めずに済みます。限られた時間を、相手の用件に使えます。
合う相手から声がかかります。 何の会社かがはっきりしているほど、その中身を求める相手が集まり、合わない相談は最初から来にくくなります。取引先に限らず、働く場所を探している人にも同じことが起きます。
社内で迷ったときの戻り先ができます。 この仕事を引き受けるか、この相談にどう答えるか。何を理由に選ばれたい会社なのかが決まっていれば、そこに戻って判断できます。
この目的は、名前を知ってもらうだけでは果たせません。その理由は、第5章で扱います。
進め方と、マーケティングとの違い
ここでは、ブランディングの進め方を、次の6段に分けます。
- いまを見る:自社がいま何で選ばれ、どこで比べられているかを調べる
- 浮かびたい用件を決める:どの相手の、どんな用件で最初に浮かびたいかを決める
- 定義する:決めた中身を、作る人が使える言葉と見た目の決まりに書き起こす
- 制作物に落とし込む:Webサイト、営業資料、名刺、SNS、採用ページを作る人が、決まりに沿って作れるようにする
- 接点をそろえる:制作物と日々のやりとりを、決めた中身にそろえる
- 確かめて直す:相手に思い出されているか、選ばれているかを見て、ずれを直す
この6段は、2つにまとまります。1と2が、選ばれる理由を決める段です。3から6が、決めたことをどの発信でも保ち続ける段です。
6段を上から並べると、1回通せば終わる工程に見えます。実際には、6まで行ったら4や5に戻り、ずれが大きければ2まで戻ります。3から6は、会社がある限り回り続けます。
2で決めることの範囲は、会社によって違います。売るものがまだ決まっていない会社では、2は、浮かびたい用件より手前の、何を売るかを決めるところから始まります。その決め方は、製造業のブランディングの記事で扱っています。
関連記事製造業のブランディングは、何を売るかを決める経営戦略
BtoBの会社では、2で決める相手が、1社の中に何人もいます。BtoBでの進め方は、BtoBブランディングの記事で扱っています。
関連記事BtoBブランディングは、担当者が社内で説明できる材料を整えること
マーケティングとの違い
ブランディングとマーケティングは、境目が分かりにくい言葉です。どちらも相手に選ばれることを目指すからです。
分けるなら、扱う問いが違います。ブランディングが扱うのは、何の会社として思い出されたいかです。マーケティングが扱うのは、いま買う可能性のある相手に、どう届けて、どう買ってもらうかです。広告、販促、価格の決め方、販路の選び方は、マーケティングの側に入ります。ニーズを探り、商品やサービスの開発につなげる調査も、マーケティングの仕事です。
ブランディングを「発信し続けること」と書くと、マーケティングの宣伝と同じに見えるかもしれません。具体的に発信するのは、マーケティングです。マーケティングは、相手や時期に合わせて、何を前に出すかも届け方も変えます。ブランディングが保ち続けるのは、その発信の奥にある、何の会社かという同じ中身です。
両者のつながりを見ると、何を売るか、サービスや強みを一言でどう表すかを決めることが、ブランディングの出発点になります。ここは、経営戦略と重なるところでもあります。「〇〇ならこの会社」の〇〇に入る中身が決まると、それがマーケティングでもそのままコンセプトになります。そこから、名前を知ってもらい、選んでもらうための施策が動き出します。
この流れは、一方向ではありません。発信を続けても、6段目の「確かめて直す」でずれが大きいと分かれば、2まで戻り、何の会社として思い出されたいかから考え直すこともあります。そのときは、経営戦略と行き来します。マーケティングが新しいことを始めるときは、第7章で扱う定義に照らして進め、定義で判断のつかないところは、ブランディングの側と連携して決めます。
知られてから、思い出されるまで
名前を知られていることと、思い出されることには、選ばれる場面で違いが出ます。
名前を聞いたことがあるだけの会社は、用件ができたときに浮かびにくいものです。浮かぶのは、用件と会社が頭の中で結びついている場合です。この結びつきを、ブランド連想と呼びます。結びついて最初に浮かぶ会社は、声をかける候補の先頭に来ます。第3章で書いた、比べられる前に選ばれる状態にあるのは、この会社です。
知名度を上げたいときに、誰に、何の用件で思い出されたいかから施策を選ぶ手順は、知名度を上げる方法の記事で解説しています。
関連記事知名度を上げる方法とは?認知度との違いと施策、先に決める「何の用件で思い出されたいか」
ただ、知られることと思い出されることは、別々の活動で得るものではありません。同じ中身の発信が積み重なっていく中で、途中にあるのが「知られている」で、その先にあるのが「思い出される」です。
ブランディングが目指すのは、この連想の段階まで浸透させることです。知られている段階は通過点で、行き着く先ではありません。
連想は、一度の発信ではできません。展示会で一度会った会社、広告で一度見た会社は、名前が残ることはあっても、用件とは結びつきにくいものです。受け取る場面を変えながら、同じ中身に何度も触れた先で、ようやく結びつきます。広告の反応はすぐに数えられますが、連想ができたかどうかは、すぐには数えられません。
では、何度も受け取るものが、毎回違っていたらどうなるか。
浸透させるのは、一貫性
連想が積み重なる条件は、接点が変わっても、受け取る中身が同じであることです。
たとえば、ある会社が接点ごとに違うことを打ち出していたとします。Webサイトでは「提案力」、会社案内では「スピード」、SNSでは「地域密着」です。1つずつは嘘ではありません。けれど受け取る側には、3回の接触が、3つの別々の印象として残ります。どれも積み重ならず、「〇〇ならこの会社」の〇〇が決まりません。
どの接点でも同じことを言っていれば、1回ずつの接触は小さくても、同じ場所に積み重なります。
ただ、私の見てきた範囲では、言っていることのずれより、その手前の状態のほうがよくあります。
- 発信している媒体が、そもそも少ない
- 抽象的な言葉が並び、何が言いたいのか分からない
- 他社との違いが分からない
- 事業や強みが、一言で伝わらない
1つ目は、発信の量が足りない状態です。この場合は、まずマーケティングの側で接点を増やすことが要ります。残りの3つは、重ねていく中身がまだ決まっていないか、決まっていても言葉になっていない状態です。こちらは、そろえる前に、第4章の6段のうち、2段目の「浮かびたい用件を決める」と3段目の「定義する」から始めます。
この記事の冒頭に置いた「選ばれる理由を決めて発信し続ける」とは、何をすることか。接点ごとに言い方や見せ方は変わっても、決めた中身が同じところに重なるように保ち続けることです。接点ごとに違うことを言っていれば、何度発信しても、ここで言う「発信し続ける」にはなりません。私は、この一貫性こそがブランディングだと考えています。
一貫性は、言っていることだけの話ではありません。資料ごとにロゴの色が違ったり、ページごとに写真の雰囲気が違ったりすることがあります。こうした見た目のずれも、受け取る側には別々の会社のように映ります。言葉と見た目の両方がそろって、はじめて同じものとして重なります。
一貫性が崩れるのは、多くの場合、誰かが怠けているからではありません。Webサイトは制作会社が、営業資料は営業担当が、SNSは広報の担当者が、それぞれの判断で作ります。作る人が増えるほど、少しずつずれていきます。一貫性は、気をつけるだけでは保てません。作る人が迷ったときに戻れる基準が要ります。
一貫性を保つために、定義して、制作物に落とし込む
作る人ごとの判断でずれるなら、判断の基準を先に決めておけば、ずれは小さくなります。一貫性を保つための具体的な実務は、アイデンティティとビジュアルを、作る人が使える形に定義することです。そのうえで、判断に迷う相談に答え、使いにくくなった決まりを直しながら、一貫性を保ち続けます。
アイデンティティを定義する
この記事でいうアイデンティティは、選ばれる理由として決めた中身を、作る人が使える言葉に書き起こしたものです。
- 会社の定義:誰に、何を提供する会社か。一文で言える形にする
- 約束:相手に対して守り続けること
- 言葉の決まり:会社を説明するときに使う言葉と、使わない言葉
- 語り口:文の硬さ、専門用語の扱い、相手の呼び方
最初に書くのは、会社の定義です。約束も言葉の決まりも、会社の定義から導きます。使わない言葉まで決めておくと、作る人が迷ったときに外れにくくなります。
ビジュアルを定義する
ビジュアルは、アイデンティティを見た目で表す決まりです。
- ロゴ:形、使ってよい大きさと余白、してはいけない変形
- 色:主に使う色と補う色、それぞれを使う割合
- 書体:見出しと本文の書体、文字の大きさの段階
- 写真・図:何を撮るか、どう撮るか、図をどの線と色で描くか
ロゴや色は、何の会社かを言葉にしたあとでないと、選ぶ根拠がありません。そのため、アイデンティティより先には決められません。
定義を、制作物に落とし込む
定義は、決めただけでは一貫性を生みません。効くのは、制作物を作る場面で使われたときです。
Webサイト、営業資料、会社案内、名刺、メールの署名、SNSの投稿、採用ページ、展示会のパネル。会社が作る制作物は、思っているより多くあります。そのすべてが、定義を見ながら作られているかどうか。一貫性は、そこで決まります。
そのために、定義を、作る人が使える形にまとめておきます。ブランドガイドラインと呼ばれる文書です。ロゴの使い方や色の値だけでなく、会社の定義と言葉の決まりまで入れておきます。そうすれば、外部の制作会社に頼むときにも、同じ基準を渡せます。
新しい制作物を作るときに確かめることは、1つです。この制作物は、定義に沿っているか。沿っていなければ制作物を直します。直しても現場の実態とずれてしまうなら、見直すのは制作物ではありません。選ばれる理由として決めたことが、今の会社と合わなくなっていないかを確かめます。
決まりを作り、判断の難しいものに答える側を、人と組織として置いている会社もあります。楽天(現・楽天グループ)のチーフクリエイティブディレクターの佐藤可士和さんは、インタビューで、ロゴからアプリのアイコンまで、さまざまなプロジェクトから生まれる制作物を、自身と社内の組織「Design Lab」のデザイナーが「集中的に監修しています」と話していました(楽天グループ採用サイト「佐藤可士和 CCD Interview」、インタビュー当時の情報)。
佐藤さんは、セブン‐イレブンのプライベートブランド「セブンプレミアム」のパッケージについて、自分たちの仕事を「“デザインのルール”をつくること」と説明しています。日々のデザインはそのルールに沿ってセブン‐イレブン側の担当や協力会社のチームが進め、佐藤さんの側は判断の難しいケースに対応し、その都度ルールを改定しているそうです。「ルールができたらおしまいではなく、ブランドイメージをキープしながらアップデートする」(GOETHE「セブン−イレブンのデザインに見るデザイン整理術【佐藤可士和の仕事】」、2021年2月19日)。
私は、決まりを作ったあとも続くこの仕事が、一貫性を保ち続けるためのマネジメントだと考えています。社長と数人の会社なら、決まりを作り、迷ったときに答える側は、社長か1人の担当が受け持つことになります。
定義から制作物までの仕事は、外部に頼むこともできます。迷ったときに答える人を社内に置けないとき、運用まで外に頼むかどうかは、ブランディング会社の選び方の記事で扱っています。
関連記事ブランディング会社は、「はい」で答えられない質問で選ぶ
社内では、言葉より行動と評価にする
第7章で扱ったのは、制作物の一貫性でした。けれど、取引先が会社と接する場面は、制作物だけではありません。
電話に出た社員の説明、打ち合わせでの営業担当の話、納品のときの現場の対応。取引先から見れば、どれも会社と接する場面です。Webサイトの説明と担当者の説明がそろっていても、担当者が替わったとたんに、説明の仕方が変わることがあります。取引先に残るのは、そのとき受けた説明のほうです。
営業や現場の社員は、取引先と毎日接しています。その発言や振る舞いは、ガイドラインで整えた制作物と並んで、会社の印象を決めます。定義を決めても、社員がそれを知らなければ、接点ごとに違うことを言います。
配るだけでは、使われない
会社の定義を冊子にして配ったり、朝礼で読み上げたりする進め方があります。ただ、配っただけでは社員に使われない、ということもよくあります。配られた言葉が、そのまま社員自身の仕事の言葉になるわけではありません。
表に出したメッセージを、行動と評価に結びつける
会社の定義や約束として外に向けて言っていることを、ここでは表に出したメッセージと呼びます。社内で必要なのは、それを実現するための行動に落とし込むことです。営業なら、初回の打ち合わせで最初に何を話すか。現場なら、無理のある納期の相談にどう答えるか。電話を受ける人なら、何の会社かを一言でどう説明するか。メッセージは1つでも、それを実現する行動は仕事ごとに違います。
決めた行動は、一度伝えて終わりにせず、周知を徹底します。そのうえで、社員を評価する基準にまで結びつけます。
外への発信が同じ中身で続くには、社員の日々の行動も、その中身と一致している必要があります。
一貫した発信で、同じ思いの人が集まってくる
とはいえ、社内に浸透させるのは本当に難しいことです。行動と評価の決まりは整えられても、いまの仕事に前向きになれていない社員の考え方まで変えるのは、至難の業です。
むしろ、外への発信が一貫していることで、同じ思いを共有できる人が集まってくることがあります。第3章で、合う相手から声がかかることは、働く場所を探している人にも起きると書きました。いまいる社員の考え方を変えようとするより、同じ思いを持つ人を集めるほうが効くこともある、と私は考えています。
働く場所を探している人に、選ばれる理由をどう決めて、採用ページなどの接点でそろえるかは、採用ブランディングの記事で解説しています。
関連記事採用ブランディングとは?社員の経験から「選ばれる理由」を見つけ、一貫して伝える
どこから手を付けるかは、会社の状態で変わる
第4章の進め方は、上から順に並んでいます。けれど、実際に手を付ける場所は、会社の状態によって違います。すでに決まっていることも、止まっている場所も、会社ごとに違うからです。
| 会社の状態 | 最初にやること |
|---|---|
| 何を売る会社なのかが、まだ決まっていない | 事業の中身を決める。見た目や言葉は、それに合わせて整える |
| 選ばれる理由として決めたことが、今の会社と合わなくなった | 何を残し、何を変えるかを決め直す |
| BtoBで、問い合わせのあと発注に至らない | 担当者が社内で説明できる材料をそろえる |
| 外部の会社に頼もうとしている | 外部に任せる範囲を決める |
| 決まっているのに、接点ごとに言っていることが違う | 決まっている中身を定義として書き出し、制作物と社内の行動をそろえる |
何を売るかが、まだ決まっていない
売るものが決まっていないと、会社の定義を書けません。会社の定義に書く「誰に、何を提供する会社か」の、後ろ半分の「何を提供するか」が決まっていないからです。
関連記事製造業のブランディングは、何を売るかを決める経営戦略
選ばれる理由として決めたことが、今の会社と合わなくなった
事業や顧客が変わったり、代替わりしたりすることがあります。そうした変化で、以前に選ばれる理由として決めたことが、今の会社を表さなくなることがあります。この場合は、すべてを作り直す前に、何を残すかから決めます。
BtoBで、問い合わせのあと発注に至らない
問い合わせまでは来るのに、発注に至らないことがあります。BtoBの場合、止まっている場所は、自社ではなく、発注する側の社内にあることがあります。
関連記事BtoBブランディングは、担当者が社内で説明できる材料を整えること
外部の会社に頼もうとしている
頼む前に、どこからどこまでを外に出すかを決めます。依頼できる仕事の単位と、どこまで頼むかの決め方は、ブランディング会社の選び方の記事で扱っています。
関連記事ブランディング会社は、「はい」で答えられない質問で選ぶ
決まっているのに、接点ごとに言っていることが違う
この場合は、この記事の第6章から第8章が当てはまります。すでに決まっている中身を定義として書き出し、制作物と社内の行動を、その定義にそろえます。まずは決め直さずに、そろえるところから始めます。
ARROWSのブランディング
第7章の定義づくりは、ARROWSのブランディングでも受け持てます。事業の内容や強み、お客様を整理して、選ばれる理由とお客様への約束を決めます。第7章の会社の定義と約束にあたる部分です。言葉の決まりのうち、タグラインや会社の紹介文など、繰り返し使う言葉をつくり、ビジュアルのうち、色・書体・写真の雰囲気の決まりもつくります。
選ばれる理由と言葉、見た目の決まりは、1つの資料にまとめます。第7章のブランドガイドラインの土台になるもので、社員の方が日々の仕事で、同じ言葉とデザインを使えるようにするためです。第8章の行動と評価への結びつけは、この資料を土台に、各社の社内で進める部分です。
決めたあとも、Webサイトの制作やマーケティングコンサルティングと組み合わせれば、施策や制作物が増えても、決めた言葉と見た目からずれていないかを確かめ続けられます。
まとめ
ブランディングとは、選ばれる理由を決めて、発信し続けることです。その活動は、具体的な発信を担うマーケティングとも、経営戦略とも行き来しながら、どこかで役割を終えて次に渡すことなく続きます。
名前を知られることと、思い出されることは、別々の活動で得るものではなく、同じ積み重ねの途中と先にあります。目指すのは、用件と会社が結びついて思い出される、ブランド連想の段階です。そこまで浸透させるのは、同じ中身が何度も重なること、つまり一貫性です。
一貫性は、気をつけるだけでは保てません。保つには、アイデンティティとビジュアルを先に定義し、Webサイトから名刺、採用ページまで、作る人がそれを見て作れるようにします。そのうえで、迷う相談に答え、決まりを直し続けます。社内では、外に向けて言っている中身を行動に落とし込み、評価にまで結びつけます。
ロゴを新しくし、Webサイトを整えても、選ばれる理由が決まっていなければ、また決まっていても制作物ごと、社員ごとに言っていることが違えば、連想は積み重なりません。手を付ける場所は会社の状態で変わりますが、決めた中身を、どの発信でも保ち続けることは変わりません。




