求人票に書いた条件は、採用後の条件になる前提で読まれる

求人票の書き方を考える前に、書いた条件がどう扱われるかを押さえておきます。条件の扱いが分かると、書く前に社内で確かめておくことも分かるからです。

厚生労働省の「求人申込書の書き方」は、ハローワークに求人を出す事業主に向けて、最初のページにこう書いています。

これから記入いただく労働条件は、そのまま採用後の労働条件になることが期待されています。求職者に分かりやすく誤解のないように、記入してください。

では、求人票の条件は、そのまま契約の内容になるのでしょうか。厚生労働省の働く人向けのQ&A「確かめよう労働条件」は、求人票に書かれた条件が、ただちに実際の労働契約の内容になるわけではない、としています。そのうえで、こう続けています。

採用前の面接や入社時の話し合いで、求人時の労働条件を労働者と使用者が合意して変更したと認められるような特段の事情がなければ、求人時の労働条件が確定したものになると考えられます。

つまり、面接などで話し合い、合意して条件を変えたと認められる事情がなければ、求人票に書いた条件が、そのまま働く条件として確定すると考えられる、ということです。応募を集めるために給与を高めに書いたり、残業を少なめに書いたりすると、採用した人は、その条件で働けると考えて入社してきます。

求人票に書いた条件は、入社後まで引き継がれる前提で読まれる 求人票 条件を書く 面接・話し合い 条件を説明する 労働条件通知書 契約を結ぶときに渡す 入社後 その条件で働く 引き継がれる条件 業務の内容・就業場所・就業時間・休日・賃金・加入保険など 面接などで合意して変えたのでなければ、求人票に書いた条件が働く条件として確定すると考えられる 変えるなら、変えた内容を応募者に示す(変更明示)
図1:求人票に書いた条件は、面接・労働条件通知書を経て、入社後まで引き継がれる前提で読まれる。

だから、求人票を書く前に、給与は実際に払える額に、残業や休日は社内で守れる条件にそろえておきます。給与に幅を持たせるなら、どんな経験の人に下限の額と上限の額を払うのかを決めます。残業は月に何時間くらい見込むのか、休日は繁忙期にも守れるのかを、給与や休日を決める人(経営者など)と、現場の人に確かめます。ここで決めた条件は、契約を結ぶときに渡す書面(労働条件通知書)まで引き継がれます。労働条件通知書は、契約を結ぶときに労働条件を書面で示すための書類で、労働基準法でその通知が求められています。

途中で条件を変えることになったときの扱いは、第6章で説明します。

必ず書く項目は、法律で決まっている

社内で条件が決まったら、求人票に書く項目を確かめます。求人票に必ず書く項目は、職業安定法で決まっています。先ほどの「確かめよう労働条件」のQ&Aは、労働者の募集をする事業者が、応募者に書面などで示さなければならない労働条件として、次の項目を挙げています。

項目何を書くか
業務の内容従事する業務と、その変更の範囲
契約期間期間の定めがあるか。あるならその期間
試用期間あるか。あるならその期間
有期契約の更新更新する場合の基準。通算の期間や更新の回数に上限を決めているなら、その上限
就業場所働く場所と、その変更の範囲
就業時間と休日始業と終業の時刻、所定の時間を超える労働の有無、休憩時間、休日
賃金賃金の額(賞与などの臨時の賃金を除く)
加入保険健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険
募集者の名称雇う人・会社の氏名か名称
派遣労働者として雇う場合その旨
受動喫煙の防止就業場所での受動喫煙を防ぐための措置

※厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A(職業安定法5条の3・同法施行規則4条の2第3項の明示事項)から、項目の名前を短くして並べた。業務と就業場所の「変更の範囲」と、更新の上限は、厚生労働省「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!」によると2024年4月から加わった

ハローワークに出すときは求人申込書の欄に、求人サービスに出すときはサービスの入力欄に沿って書けば、ほとんどの項目は埋まります。ただ、2024年4月に加わった「変更の範囲」(入社した直後だけでなく、将来の配置転換などで業務や場所が変わりうる範囲)のように、入力欄を順に埋めていくだけでは見落としやすい項目もあります。厚生労働省の求人企業向けの資料「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!」は、業務内容の記載例を〈(雇入れ直後)一般事務 (変更の範囲)●●事務〉としていて、入社した直後と変更の範囲を並べて書く形です。ハローワークの事業主向けの資料「求人者サービスのご案内」は、業務を変える予定がなければ〈業務範囲:変更なし〉と書き、将来の配置転換などで別の業務に就く見込みがあるなら、変更後の業務を書くよう求めています。書き終えたら、入力欄が埋まったかではなく、上の表の項目が1つも欠けていないかを、1行ずつ見比べます。

項目のほかに、書き方の決まりもあります。職業安定法は、虚偽の表示だけでなく、嘘ではなくても読んだ人が誤解するような表示も禁じています。

もう1つ、性別と年齢を限定しないことも、書くときの決まりです。男女雇用機会均等法の第5条は〈事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。〉としています。年齢について、「求人申込書の書き方」は、労働施策総合推進法に基づく例外事由に該当する場合を除き、〈年齢を不問としなければなりません。〉と書いています。職種名に「営業マン」のような、特定の性別を思わせる呼び方を使っていないか、「若手」「〇歳まで」のように年齢を限定する書き方がないかも、書き終えたときに確かめます。

誤解を生じさせる表示の例(固定残業代やモデル給与の書き方)と、2024年4月に加わった項目の中身(変更がないときの書き方を含む)は、求人の無料掲載を扱った次の記事で、厚生労働省の資料の例とあわせて解説しています。

関連記事求人の無料掲載とは?出せる場所と「無料」の中身、掲載したあとに会社が守ること

職種名は、職務の名称で書く

項目がそろったら、次は職種名です。求人の一覧で、求職者が最初に目にする欄です。

「求人申込書の書き方」は、職種の欄について、こう書いています。

どのような職業かイメージしやすいよう専門用語や企業独自の呼称を避けた表現で記入してください。

社内で使っている「CS課」「フィールドスタッフ」といった呼び名だけでは、社外の人に仕事の中身が伝わりません。「電話によるお客様からの問い合わせ対応」「住宅設備の点検・修理」のように、社外の人が読んで仕事が思い浮かぶ呼び方にします。

自社の採用ページにも載せるなら、Googleの決まりも1つ関わります。採用ページに構造化データ(求人の内容を、ページの文章とは別に、検索エンジンが読み取れる決まった形で書き足したもの)を入れて、Googleの検索結果にある求人の枠(Googleしごと検索)に出すとき、Googleは職種名にあたる項目に〈職務の名称のみ〉を書くよう求めています(詳しくは第7章で説明します)。ただ、これはGoogleの構造化データの決まりで、求人サービスの職種名の欄の決まりではありません。求人サービスの一覧では、職種名に「未経験歓迎」「残業ほぼなし」のような言葉を足した書き方も見かけます。

それでも、職種名は職務の名称にしておくのがよいと私は考えています。理由は2つあります。1つは、厚生労働省の書き方とGoogleの決まりのどちらにも合うので、同じ求人票を、ハローワークにも求人サービスにも自社の採用ページにも、そのまま使えることです。もう1つは、「未経験歓迎」のような伝えたいことを書くのに、ちょうどよい欄がほかにあることです。たとえば「求人申込書の書き方」によると、ハローワークの検索結果の一覧では、「経験不問」「時間外労働なし」などに当てはまる求人は、アイコンで強調して表示されます。

職種名の欄に入れるもの・入れないもの 職種名の欄には、職務の名称だけを書く 例:電話によるお客様からの問い合わせ対応/住宅設備の点検・修理 職種名に入れないもの 書く場所 宣伝の言葉(未経験歓迎・残業ほぼなし) 仕事の内容・会社の特長の欄 給与 賃金の欄 勤務地 就業場所の欄 会社名 会社名の欄 社内の呼び名・専門用語 社外の人に分かる呼び方に直す 職務の名称にしておけば、同じ求人票をハローワーク・求人サービス・自社の採用ページで使える
図2:職種名の欄には職務の名称だけを書き、伝えたいことは、それに合った欄に書く。職種名に入れないものと、その書き場所は、厚生労働省の書き方とGoogleの title の決まりをもとに、筆者が整理したもの。

「未経験歓迎」と書くなら、仕事の内容の欄で、入社後にどう教えるかも一緒に書きます。仕事をどう覚えていくのかが分かれば、未経験の人も安心して応募を考えられます。給与は賃金の欄に、勤務地は就業場所の欄に、会社の良さは会社の特長の欄に書きます。職種名の欄には職務の名称だけを書き、伝えたいことは、それに合った欄に書きます。

自社の採用ページで、職務の名称(title)や説明(description)を構造化データにどう書くかは、次の記事で解説しています。

関連記事JobPostingの構造化データは、求人の掲載を終えるときの扱いから決める

仕事の内容は、働く1日が思い描けるように具体的に書く

職種名に目を留めた人が、次によく読むのが仕事の内容です。「求人申込書の書き方」は、この欄を〈仕事の内容は求職者が最も重要視する項目の一つです。〉としています。

ハローワークインターネットサービスの求人者向けのページ「応募したくなる求人へ!」によると、仕事の内容は、ハローワークで求職者からよく質問される項目の1つです。同じページは、この欄の充実度と応募の状況の関係を、こう書いています。

実際に「仕事の内容」欄の充実度と応募状況の関係を調べてみると、記載内容が少ないと応募者が少なく、記載内容が充実するに従って応募者が増えるといった結果も出ています。

同じページは、営業の求人の2つの例を比べています。営業をすることしか分からない求人と、扱う製品、顧客層、営業地域、社用車を使うこと、必要な営業経験まで書いてある求人です。後者は、就職したあとの仕事が思い浮かぶので、応募への不安がなくなる、としています。

同じページが、仕事の内容を具体的に伝えるために挙げているものは、次のとおりです。

  • 何を扱い、誰を相手に、どこで働くか(扱う製品、顧客層、営業地域、施設の規模など)
  • 担当する業務の範囲と、使う機材や道具
  • 必要な免許・資格・経験。その仕事に必要不可欠なのか、あれば望ましいのかを分けて書く
  • 経験を問わない募集なら、専門用語を避け、初めての人でも仕事が思い浮かぶ書き方にする
  • 入社後に資格を取れるなら、取れる資格と会社の支援の制度

これに1日の動きを加えると、読む人は自分が働くところを思い描けます。次の図は、ハローワークのページで紹介されている比較にならって、私が作った例です。

仕事の内容の書き方:AとBを比べる(例は筆者が作ったもの) A 職種:営業 仕事の内容: ルート営業をお願いします。 読む人に分からないこと ・何を売るのか ・誰が相手か・新規開拓はあるか ・どの地域を、どう回るのか ・経験や免許は要るのか B 扱うもの 住宅用の建材(床材・室内ドア) 相手 県内の工務店 約40社(いまの取引先) 1日の動き 社用車で4〜6社を回り、注文を受ける 新規開拓 月に数件、紹介された工務店を訪ねる 使うもの 社用車(AT車)・タブレットの受注画面 必須 普通自動車免許(AT限定可) 歓迎 建材・住宅設備の営業の経験 入社後 1か月は先輩に同行し、取引先と仕事の流れを覚える Bなら、読む人が「自分にできるか」を判断できる
図3:仕事の内容の書き方の比較。Aは営業の仕事だということしか分からず、Bは扱うもの・相手・1日の動き・必須の免許と歓迎する経験まで分かる。例は筆者が作ったもの。

Aは、営業の仕事だということしか分かりません。読む人は、何を売るのか、誰を相手にするのか、新しい取引先を探す仕事なのか、どの地域をどう回るのか、経験や免許が要るのかが分からないまま、応募するかどうかを決めることになります。Bは、扱うもの、相手とその地域、1日の動き、使う車、必須の免許と歓迎する経験、入社後に仕事を覚える流れまで書いてあるので、自分にできそうかを判断できます。

ハローワークのページが紹介している結果も、書き込みが増えた分だけ、読む人が応募するかを判断する材料が増えたからだと私は考えています。仕事の内容は、書いた量より、読む人が「自分にできるか」を判断できるかで見ます。ただ、この中身は、書き手の机の上だけでは書けません。その仕事をいま担当している人に、1日の流れと、新しく入った人がつまずいたところを聞きます。

賃金・休日・働き方は、実態に合わせて書く

仕事の内容と並んで読まれるのが、賃金と働き方です。採用後の暮らしに直結する欄なので、第1章で見た「書いた条件は、採用後の条件になる前提で読まれる」が、特に大切になります。賃金の欄に書くのは、今回採用する人に払う額です。平均的な実態で書くよう求められているのは、あとで説明する総支給額の例(在職者の例など)のほうです。

「応募したくなる求人へ!」は、賃金を正確に分かりやすく書くために、賃金の欄が分かれていることを説明しています。ハローワークの求人申込書では、次のように書き分けます。

欄書くもの
基本給月額(時給・日給・年俸も月額に換算する。パートは時間額)。固定残業代が含まれているなら、その額を分けて書く
定額的に支払われる手当採用する人全員に毎月同じ額で払う手当(役職手当、資格手当、地域手当など)
固定残業代額と、何時間分か。時間外労働の有無にかかわらず払うことと、超えた分は追加で払うことを書く
その他の手当等付記事項家族手当、皆勤手当など、人や実績によって払う手当
求人に関する特記事項残業手当などを含めた総支給額の例(未経験者の初任給、経験者に払う額の下限、在職者の例)

※厚生労働省「求人申込書の書き方」・ハローワークインターネットサービス「応募したくなる求人へ!」から(固定残業代の「何時間分か」は、厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ」の記載例から)。欄の名前はハローワークの求人申込書のもの

求人サービスの入力欄は、ここまで分かれていないことがあります。その場合も、基本給と固定残業代を分けて書くことと、総支給額の例を添えることは、本文の欄を使ってできます。

総支給額の例について、同じページは注意を書いています。勤続年数がとても長い社員の基本給を上限の額として書いたり、過度な残業をした月の総支給額を例にしたり、営業で特別に大きな契約を取ったときの額を書いたりすると、入社後に実際に払われる賃金が採用した人の期待を下回り、早く辞めることにつながりかねない、としています。そのうえで、こう求めています。

平均的な実態を求人票・求人情報に記入・入力していただくようお願いします。

残業と休日も同じです。厚生労働省の「労働者を募集する企業の皆様へ」は、時間外労働の記載例を〈あり(月平均20時間)〉としています。月によって差があるなら平均の時間を書き、繁忙期に休日が減るなら、そのことも書いておきます。

働き方については、「応募したくなる求人へ!」が、試用期間があるなら、その間の条件を正確に書くと後々のトラブルを防げるとしています。また、研修や資格取得の支援、入社1年後や3年後の将来像を書くと、応募のきっかけになることもあるとしています。求職者が魅力を感じる例として、資格取得の支援、実力に応じて評価する人事の制度、ノルマのない安定した収入、経験がなくても受け入れること、家事や育児に合わせた時間の調整も挙げています。

ただ、これらは「書くと応募が増える言葉」の一覧ではありません。書けるのは、社内に実際にある制度と、実際に払う額だけです。資格取得の支援なら費用を誰がどれだけ出すのか、時間の調整なら誰に相談すればよいのかまで、書く前に担当の人に確かめます。

面接で条件が変わるなら、変更を示す

ここまで、求人票に社内で守れる条件を書く理由を見てきました。それでも、面接で話すうちに、担当してもらう業務や給与が変わることはあります。そのときにどうするかも、職業安定法に決まりがあります。

厚生労働省の求人企業向けの資料「労働者を募集する企業の皆様へ」は、2018年1月の職業安定法の改正で新しくできた決まりとして、こう書いています。

当初明示した労働条件が変更される場合は、変更内容について明示しなければなりません。

これを変更明示と呼びます。この決まりはいまも同じで、第1章の「確かめよう労働条件」のQ&Aも、募集のときに示した条件を変更・特定・削除・追加する場合は、変える条件を示さなければならない、としています(職業安定法5条の3第3項)。資料は、変更明示が要る場合を4つ挙げています。

変更明示が要る場合当初の明示提示する条件
当初と異なる条件を示す基本給30万円/月基本給28万円/月
当初の範囲の中で決めた条件を示す基本給25万円~30万円/月基本給28万円/月
当初示した条件を削る基本給25万円/月、営業手当3万円/月基本給25万円/月
当初示していなかった条件を加える基本給25万円/月基本給25万円/月、営業手当3万円/月

※厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ」(2018年1月1日施行の職業安定法の改正)の例から

表の2行目には注意がいります。求人票に「25万円~30万円」と幅を持たせて書き、その範囲の中の28万円に決めた場合も、変更明示が要ります。範囲の中であっても、決まった額を応募者に示します。

示し方について、資料は、当初の明示と変更後の内容を見比べられる書面を渡す方法が望ましく、労働条件通知書で変えた所に下線を引いたり色を付けたり、注を付けたりする方法でもよいとしています。変更後の条件が決まったら、できるだけ早く、見比べられる形で応募者に示します。応募者が、変わった内容を理解したうえで、契約を結ぶかどうかを考える時間を取れるようにするためです。

条件が変わったときの示し方 求人票 当初の明示 面接など 条件が変わる 変更を示す (変更明示) 決まったらできるだけ早く 契約を結ぶ 変わった内容を理解した うえで決める 示し方 当初と変更後を見比べられる書面を渡す(望ましい) 労働条件通知書で、変えた所に下線・色・注を付ける 募集を続けている 求人票・募集要項も 直す 変更を示す場合でも、当初の明示を安易に変えてはならない
図4:面接などで変更後の条件が決まったら、できるだけ早く、その内容を応募者に示す。示し方は厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ」が挙げる2つ。

資料には、もう2つ大事なことが書いてあります。1つは、〈変更明示を行う場合でも、当初の明示を安易に変更してはなりません。〉ということです。もう1つは、条件を変えたなら、同じ求人で募集を続けている求人票や募集要項も、直す必要がないかを確かめる、ということです(資料は、内容を検証したうえで必要に応じて直す、としています)。

変更明示は、変えるための手続きではありません。変えたことを相手が分かるようにするための決まりです。第1章の「合意して条件を変えた」とつなげると、まず変わった内容を変更明示で示し、そのうえで応募した人が、その条件で契約を結ぶかどうかを決める、という順番になります。示すことと、応募した人が合意することは、別のことです。そして、はじめに書いた条件が守れるものであれば、変更明示をする場面そのものが減ります。

1つの求人票を、ハローワーク・求人サービス・自社の採用ページで共通して使う

ここまで、求人票に何をどう書くかを見てきました。最後に、書いた求人票を、いくつもの掲載先で共通して使う方法です。

求人を出す先は、ハローワーク、求人サービス、自社の採用ページなど、いくつかあります。出す先ごとに書き直していると、それぞれの求人票で条件が少しずつずれていきます。古い給与が残った掲載先を見た人は、その額を前提に応募してきます。

書く項目は、どこに出してもほとんど同じです。掲載先によって違うのは、欄の名前と分け方、書ける文字数です。第2章の表の項目に、職種名、詳しい仕事の内容、賃金の内訳を加えて1つの求人票にまとめておけば、掲載先の欄に合わせて写すだけで済みます。

1つの求人票を、3つの掲載先で使う 求人票(1つにまとめる) 職種名 仕事の内容・必要な経験 賃金 就業場所 就業時間・休日 掲載を始めた日 会社名 ハローワーク 求人申込書の欄に写す 求人サービス 入力欄に写す (欄の名前と文字数が違う) 自社の採用ページ ページに書く+構造化データ title=職種名/description=仕事の内容 datePosted=掲載を始めた日 項目はほとんど同じ。出す先ごとに違うのは、欄の名前と分け方、書ける文字数
図5:1つにまとめた求人票を、ハローワーク・求人サービス・自社の採用ページで使う。採用ページでは、構造化データの項目を求人票の項目と対応させる。

ここから先は、自社の採用ページをGoogleしごと検索にも出したいときに、制作会社と一緒に確かめる中身です。採用ページに載せるだけなら、この設定は要りません。Googleしごと検索に出すときは、第3章で触れたGoogleの決まりが関わります。Googleの求人情報(JobPosting)の構造化データの資料は、職種名にあたる title を〈職務の名称(求人情報のタイトルではない)〉としています。私の読みでは、「営業スタッフ」が職務の名称で、「未経験歓迎の営業スタッフ」のように見出しとして付ける文が求人情報のタイトルです。資料は続けて、こう書いています。

このプロパティには職務の名称のみを指定します。 title プロパティには、求人コード、住所、日付、給与、会社名は含めないでください。

第3章で職種名を職務の名称にしておけば、ここはそのまま写せます。

ほかの項目も、構造化データの項目と求人票の項目を対応させます。Googleの資料では、description が求人の詳しい説明(〈職務、資格、スキル、業務時間、学歴に関する要件、経験に関する要件など〉)、datePosted が〈雇用主が求人情報を投稿した最初の日付〉です。それぞれ、求人票の仕事の内容と必要な経験・資格、掲載を始めた日にあたります。

構造化データの中身は、ページに表示している中身とそろえる決まりがあります(その書き方は、第3章で紹介した記事で解説しています)。求人票を1つにまとめておけば、ページと構造化データの中身もそろえやすくなります。

求人票を1つにまとめるのは、社内でできます。自社の採用ページを作ることや、そこに構造化データを入れることが自社では難しければ、ホームページの制作会社に頼みます。

自社の採用ページからGoogleしごと検索に載せる方法と、求人サービスを通して載せる方法の違いは、次の記事で解説しています。

関連記事Googleしごと検索に求人を載せる2つの方法と、応募の行き先

ARROWSの採用サイト制作

制作会社に頼むときの一つの形として、ARROWSの採用サイト制作を紹介します。つくり始める前に、いまの求人の内容と、応募が来るまでの流れ、使っている求人サービスを確かめ、採用サイトの構成と、求人票に載せる項目をご提案します。

つくるのは、採用サイトと、求人一覧・求人票・応募フォーム・応募者の管理からなる求人システムです。第7章で見た、Googleしごと検索に対応するための構造化データは、求人票に設定します。

求人票の中身も、この制作にあわせて整えます。職種名は職務の名称で、仕事の内容は1日の流れや関わる人まで、賃金・休日・働き方は実際の運用に合わせて書き、ハローワーク・求人サービス・自社の採用ページで同じ中身の求人票を使えるようにします。面接で決める条件は、求人票にもそう書きます。決まった条件を応募者に示す変更明示は、第6章のとおり、採用する側が行います。

まとめ

求人票に書いた条件は、面接などで合意して変えたのでなければ、そのまま採用後の条件になると考えられます。だから求人票は、条件を社内で守れるものにそろえてから書き、職種名は職務の名称で、仕事の内容は働く1日が思い描けるように具体的に書きます。そうしてまとめた内容は、掲載先の欄に合わせて、ハローワーク、求人サービス、自社の採用ページで共通して使えます。

まずは次の求人を書く前に、給与・残業・休日の条件を、それを決める人と現場の人に確かめてください。そして職種名を職務の名称に直し、仕事の内容を現場の人と一緒に書いてみてください。